和田哲哉 -LowPowerStation-

ステーショナリープログラムと信頼文具舗を運営している和田哲哉のブログです。

iPhoneのバッテリー問題について思う

アップル。いまiPhoneのバッテリー問題が話題です。この何が問題なのか。バッテリー屋の私から言うと、たかが携帯電話、(新型の登場サイクルや縛り期間から考えて)たったの1年~2年で買い替えを促す商品に8万、10万、12万もの価格を設定し、しかも性能/使用頻度/電池容量で勘案する設計値を(iPhone6sのようなバッテリー交換プログラム対象外のモデルでも)20ヶ月目あたりから(一部ではもっと以前から)素人でも分かる電池性能低下が起こるように設定してしまい、その問題をiOSによるパフォーマンスコントロールで回避できたものの、事実の公表の方法やタイミングを誤った。そしてアップルはユーザー自身ではバッテリーを交換できないようにデザインしている。それら複数要素の重なり・関わりによるものと考えています。

もちろんエリート設計集団による高度な工業製品であり、そうした人たちでも予想が出来なかった難易度の高い問題ではあろうとは思われますが、だからと言って、何も知らない沢山のユーザーを惑わせていることは確かです。じっさい「iOSをアップデートした頃から急速に動作が緩慢になってしまい、やむをえずiPhone8に機種変更した」、「買って2年に満たない家族のiPhoneの3台とも電池の残量が急減する問題が出てしまったのに(バッテリー交換プログラムの対象だった)iPhone6sだけ無償交換。あとは(電池能力81%まで低下し、かつケアに加入しているのに)80%まで低下していないから自費で電池交換せよと言われた」、「1年少々使用した程度で使用中に電源シャットダウンが頻繁に発生。iOSをアップデートしたら発生しなくなって不思議」など身近な人たちだけでも尋常ではない騒ぎになっています。

この問題に対し、アップルは1月よりバッテリーの自費交換費用を下げるという対応を発表しました。これは、アップルの「iPhoneの製品寿命は20ヶ月(?)くらいだから、それを少しでも超えたら買い替えして欲しい。でももう少し使いたいなら電池を安くするから、それで我慢して欲しい」という気持ちと、ユーザーの「それなりに高い製品を買ったのだから20ヶ月(?)そこそこで性能低下するなんてけしからん!」のような(→いずれもあくまで推測)大きな溝を埋めるのに、良い「落としどころ」になったと私は思います。

  

で、こんなにユーザーにとって深刻で実質被害者(→事実を知ることなく機種交換してしまった/電池問題でアップルストアに電話するも、たらい回し等)も居るのに、「こんな手厚い対応をするなんてアップルも大変だ。メーカーがかわいそう。」というような見解をする人たちを私は「えっ?そんな事を言うの?」と不思議でなりません。

世の中には優しい人がおおぜい居て、「かわいそう」的な見解をされ、その自身の「かわいそう」を証明すべく、あれこれ理由を探して付け足すひとが居ますが、ここはちゃんと理系的視点で考えて欲しいですし、製品がトラブルを起こした時の対処をした人(メーカー)にしか分からないセオリーがあるのですから、それを現実として受け止めて欲しいと思います。

  

たまたまアップルはiPhoneを世界中に大量に販売しているから、この問題が大変なのであって、(そういう規模的な事態が)大変でも、問題が発生した時の対処は零細企業と同じことをするしか無いのです。

(というか、ちゃんとメーカーと、困っているユーザー達を取材してから発言しましょう。)