和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

「万年筆の生活誌」内覧会に行ってきました。

・国立歴史民俗博物館の企画展示「万年筆の生活誌」
・ネタバレにならないよう概要のみご紹介。
・けれども感動の展示。皆さんも是非に。

 

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佐倉城跡の丘陵を登ってゆくと現れる「歴博」の2文字。

 
国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)にて、3月8日より開催される企画展示:「万年筆の生活誌 −筆記の近代−」。開催前日に行われた内覧会に行ってきました。

なぜ私が?と言いますと、展示に関わる取材でほんの少しだけご協力をさせて頂いたのです。私のような者にも内覧会へのお声掛けを頂き、恐縮しながらの出席でした。

ネタバレになってはいけませんので本日は概要のみのご紹介とさせてください。でも先に結論を申しますと「感動した。皆さんも是非に!」という感じです。

 

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企画展のフライヤー

20年近く筆記具や文房具についての活動をしている私ですが、万年筆はメインのフィールドでは無いため、きっと楽しい発見があるはずと高揚した気持ちで電車に乗りました。

国立歴史民俗博物館は千葉県、京成佐倉駅が最寄り駅です。拙宅のある神奈川県からはちょっと遠いものの、山手線・日暮里駅で京成特急(特急料金不要)に乗れば約50分。ツイッターやフェイスブックを見ているうちに到着です。

駅前には雨でもタクシーが多数待機していましたし、バスもあります。徒歩ですと15分程ですが、行きはずっと上り坂なので、歩くのは帰りをお勧めします。

佐倉城跡の敷地内。長い坂道を歩いてゆきますと博物館の立派な建屋が現れます。

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展示フロアの案内。AとB、ふたつの会場に別れている。

 

今回は、国立の博物館としては初めて、万年筆を主なテーマにした企画展示ということで、ご準備や展示の表現方法にはかなり苦労をされたのではないかと思います。

本展示は、広い床面積を持つ「展示室A」と、後半の順路となる「展示室B」のふたつに分かれています。Aは万年筆の「作り手」を主題にした展示。いっぽうBは万年筆の「売り手」と「使い手」に光を当てています。展示室をふたつに分けたことについて、展示を見終わった人の多くが「良い構成だった」と感想を述べていました。

博物館の広い空間。しかし展示対象となる万年筆はとても小さなものです。そのギャップを埋める、細やかな心配りを各所に見ることが出来ます。たとえば万年筆のコレクションは、来館者が見やすいように低めに設定された上質な箱形の展示台の中に納められています。しかも手前のボタンを押しますと、展示台の中が絶妙な速度でライトアップされ、コレクションがフワッと美しく浮かび上がるようにセッティングされているのです。こうした展示台が会場内にいくつも有るのですが、これらは今回のために新規に製作が行われたとのことです。

また万年筆の初心者からマニアまで、様々な人に楽しんでもらえるよう、動画での表現やパネルの説明文などに注意が払われていることが見ていて分かります。

 

具体的な展示内容については是非博物館にてご確認ください。私はふたつの展示室を見終えて本当にここに来て良かったと、大袈裟ではなく感動しました。もちろん期間中に再びここを訪ねることでしょう。

もうひとつの印象は「さすが国立、お金が掛かっている。」というものでした。しかしお金をかければ必ず良い展示になるとは限らないでしょう。展示に関わっているスタッフの皆さんの熱意とご経験と、なにより楽しまれる気持ちが無ければ(扱いが難しいに違いない)万年筆のあれこれがここまで生き生きと表現されることは無かっただろうと感じたのであります。

再度申し上げます。幸いにも2ヶ月もの期間がございます。一部のメーカーや組織、人物に偏ることなく、広く、深く万年筆の世界が語られている極めて稀な機会です。迷わず日暮里駅から京成特急にご乗車くださいませ。

 

*追記1*

 本企画展に際し、豪華(200ページ・フルカラー)の図録が発刊されています。美しい写真。展示物のほとんど全てを網羅していると思います。会場にお伺いが出来ないかたも、この一冊で充分に展示の内容を得ることが可能と思います。

 

*追記2*

本企画展に関連するイベント「歴博フォーラム」が4月16日に開催されるそうです。詳しくは公式サイトの案内をご覧ください。(開催会場にご注意)

 

 

→ 国立歴史民俗博物館公式サイト