和田哲哉 -LowPowerStation-

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「古書ほうろう」さんに行ってきました

東京・池ノ端にある「古書ほうろう」さんにおうかがいしました。

ほうろうさん、初めてです。これまではながく千駄木にお店を構えておられていたとのこと。2019年5月29日より、ここ池ノ端にて営業が再開。

今回、ヤマベボッサさんがこちらで出張カフェをされると画家のはとちゃんに教えてもらったのをきっかけにしての訪問です。

  

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東京都台東区池ノ端「古書ほうろう」

「池ノ端(いけのはた)」は上野公園にある有名な「不忍池(しのばずのいけ)」西側の、南北に細長いエリアです。東京メトロ千代田線「湯島駅」から徒歩4分ほど。そのほかJR御徒町駅はじめ多くの駅が周りにあります。湯島天神や輸入雑貨「nico」さんもこの近くです。

  

周辺は住宅地。東京大学池ノ端門からの通り沿いで落ち着いた雰囲気。「もしここに本屋さんがあったらうれしいな」が実現している、そんな幸せなロケーションです。

ほどよい広さの店内にアート/建築/写真/文芸/音楽/趣味などの古書と少々の新書、中古レコードなどが分かりやすく生き生きと配置されています。店奥の右手側にレジカウンターとカフェカウンターが広く並び、手前は別室で6~7席ほどの喫茶スペースになっています。

  

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私はヤマベボッサさんのケーキセットを注文。出来上がりまでの間、店内を観てまわります。すぐに以前お世話になった津野海太郎さんのお名前が目に飛び込んできました。

  

「本はどのように変わっていくのか」
(津野海太郎著・編集グループSURE・2019年7月1日初版)

  

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「本はどのように変わっていくのか」津野海太郎

私は津野さんより、和光大学のシンポジウム「私の編集術(2007年)」にパネラーの一人として参加のお声かけを頂いたことがあります。(あの時の私は本当に至らなくてお役に立てず恐縮)

本書は、作家の黒川創さんが司会となり、これまでながく編集のお仕事をされ現在は評論家の津野さんをはじめ出版や編集にかかわる方々、恵文社一条寺店店員の能邨陽子さんなど総勢8名の皆様による座談会の記録形式になっています。

いくつかのタイトルを追いますと『五千年を経て、なお未成熟な「本」について語ろう』から始まり、『「定着しないメディア」の登場』、「雑誌からリトルプレスへ」、「小売りの店先で変わっていくもの」、「取次という、これからの仕事」など。

取材・執筆・編集・出版・取次・小売、そして読者へと「本という商品」が数多くの段階を経るなかでの各々の切り口に関わってこられた方々による本への想いと時代背景、思想、疑問と期待、現状把握や展望などの多方面な話題を、ご参加の皆さんがまるで「飛び石」を上手に渡るがごとく軽やかにそして暖かい気持ちを持って語り合う構成になっています。

また全般に渡って紙の本と電子本との境界線を意識して語られており、読者にとっては現在の姿が当たり前のもの、あるいは定着したものと思っていた電子書籍というキーワードのあれこれについて、「プロからの目線によって浮き彫りにされる新たな捉え方」の発見もあるかと思います。

津野さんのこれまでのお仕事をいくつか知ることもでき、本書は氏のご功績をたどるにあたっての良きガイドにもなっています。

入手方法は「編集グループ<SURE>」さんへの直接注文あるいは一部の書店から。価格もA5判160ページで税別2,400円と一瞬「えっ?」と思うものでしたが、出版についての知識を全くと言っていいほど備えていなかった私にとりましては貴重な情報であり、本好き・本にお詳しいかたにとっても見逃しにはできない一冊と思います。

  

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いっぽう、古書として買ったのはこれでした。表紙の絵柄を鮮明に憶えています。と言いますか私もかつて持っていて手放していた書籍です。懐かしい!

  

「オーディオの楽しみ」
(瀬川冬樹著・新潮社・1981年3月25日発行)

  

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「オーディオの楽しみ」瀬川冬樹

46歳の若さでこの世を去られた、工業デザイナーでオーディオ評論家の瀬川冬樹さんによるオーディオシステムの解説書。

アナログレコードの歴史から始まりレコードプレイヤー、テープデッキ、アンプ、スピーカーへと各装置の音の出る仕組みや使い方、捉え方が仔細に解説されています。

氏が活躍したのは日本のオーディオ販売黄金期のまっただなか。そのご実績は一部では賛否が分かれるらしいものの、本書の価値に揺るぎは無く、今これを読めば(私を含めた)当時のオーディオファンたちの感動の体験をトレースできることでしょう。

  

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そのほかも私にとってツボな書籍がいくつかありましたが注文したコーヒーセットが用意されたので別室へ。チーズケーキと栗のケーキを堪能しました。

この日は私に次の予定があり、お店のかたとゆっくりお話はできませんでした。お店のことについてはまたこんどお尋ねしたいと思います。

  

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