和田哲哉 -LowPowerStation-

文房具ジャーナリスト・ステーショナリープログラム運営 / 和田哲哉のブログです

久しぶりに筆記具を予約で買いました「ジェットストリームエッジ3」

  
すぐに手にしたいと思いました。
こんなことは何年ぶりか、わざわざ予約までして買いました。
三菱鉛筆(株)の新製品「ジェットストリームエッジ3」です。

  

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" JETSTREAM EDGE 3 " / Mitsubishi Pencil Co., Ltd.

  

同社の「ジェットストリーム」シリーズは、極めて滑らかな書き味のボールペンとして世界的な人気商品になっています。文房具に興味の無いかたでも本シリーズをご愛用のかたは多いことと思います。

  

昨年にはシリーズの中でも極細の「ボール径=0.28mm」というペン先を備えた「ジェットストリームエッジ」が登場しました。

この「初代エッジ」。あまりに細いペン先のため、(ジェットストリームという名称ながら)滑らかな書き味を維持するのには書き手が筆記時のペン先角度や筆圧を微妙にコントロールする必要があるものの、その結果繰り出される繊細で明瞭な描線は、小さな手帳への記入やアート作品まで新たな用途と表現を実現させてくれました。

  

初代エッジについては1月に詳報しています。

blog.sprg.jp

  

私はこの初代エッジの大ファンです。最初のころは「ナイーブ(=神経質)なペン先やのぅ!」と文句を言いながら使っていたのが、いつのまにかこのカリカリな書き味の虜になっていました。(実際、上記記事の頃は結構厳しい評価を下していました)

書き方に常に気をつかわないとキレイな文字を維持できません。それでも自分が何かに取り憑かれたように小さい文字を書き続けたくなります。事務所のデスクで使うだけでなく、私の数少ない「持ち歩き筆記具」のうちの1本にもなっています。

  

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"JETSTREAM EDGE 3" & "JETSTREAM EDGE"

そしてこの11月、ジェットストリームエッジのバリエーションとして(写真手前の)「エッジ3」が登場しました。エッジ3の「3」は3色。ひとつの本体軸に黒・赤・青、3つの替芯を収容していることを意味します。

  

3つの替芯が1本になったことで、エッジ3は全体のプロポーションから細部の処理まで初代エッジのそれとは大きく違うものとなりました。

まず初代エッジでは、「ジェットストリーム+極細ペン先」という新規性を全身で表現するようなシンボリックなスタイルやディテールを採りながらも、じつは口金のシェイプも軸のプロポーションも、重心についてまでも「ガチに書きやすさを追求」なデザインになっていて感心したものです。実際に初代はナイーブな0.28mmペン先の欠点を軸のデザイン(=機能的形状)でフォローできている事を筆記中常々感じます。

  

ところが「エッジ3」においては、替芯を3本も抱えなければならないため、初代のデザイン手法をほとんど使うことができません。

そこで、エッジ3において新たに採用されたのが「本体軸の中心からオフセットさせたペン先」です。筆記時に本体軸の上面側に寄せて出てくるペン先によって、ペン先の周囲が書き手から見通しやすくなり、対象物への快適で正確な記入を手助けします。

それと同時に黒・赤・青すべての替芯が本体軸から同じ角度、かつ軸本体の中心線にほぼ平行に繰り出されるされるようになり、これまで多色ボールペンで避けられなかった「ペン先が本体軸の中心線に対して斜めに射出される」・「替芯種によってペン先の射出される向きが違ってしまう」という問題をほぼ解決させています。

  

結果、オフセットされたペン先の様子はエッジ3のデザイン上の大きな特徴にもなっています。下の写真は同じくオフセットされたペン先を備えるドイツ・ラミーの「ダイアログ1」、イタリア・アウロラの「テッシー」と「エッジ3」とを並べてみたものです。2品とも筆記具の歴史に残る名品ですし、日本での価格は2万円近いものです。

ダイアログ1やテッシーは筆記具であると同時にアート作品的な役目を担って作られているのに対し、エッジ3に課されているのはおそらく日用品としての筆記具。しかしこうして並べてみても、美しい先端部分のシェイプと高い工作精度、なにより極細のペン先を備えたエッジ3にデザイン的な引け目を感じることはなく立派です。

  

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ペン先をオフセットさせた筆記具たち

  

3つの替芯は、本体軸上部にあるダイヤルを回すことで切り替えます。ここを回すと黒赤青のペン先が代わるがわる出現します。ダイヤルの上面にある細くて小さなインク色の表示が繊細な「収まり」になっていて、本製品がマクロからミクロまで丁寧にデザインされていることを伺い知ることができます。

  

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ツマミ部分に施されたインク色表示

  

エッジ3で使う替芯の型番は「SXR-203-28」。なんと初代エッジと同じものです。替芯の共通化は、替芯を買い置きするユーザーにはとても助かります。

また(私のようにやっかいなユーザーにとりましては)「同じ替芯を違う製品で比較して楽しめる」うれしさもあります。

  

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「エッジ」,「エッジ3」共に替芯(SXR-203-28)を使用

  

エッジ3のダイヤル周りを見て、以前にドイツで入手したジェットストリームの海外向けモデルを思い出しました。並べてみたところ、全く同じとは言いませんが、なにか近しい感じもしています。ちなみにこの海外向けモデルはノック式のボールペンです。

  

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同社ジェットストリームの海外向け仕様と並べて

  

正直なところ、私は(初代エッジを除き)これまでのジェットストリームシリーズ各製品のデザインにそれほど魅力を感じてはいませんでした。ここはあくまで個人の好みのことです。全体的にヌメヌメッとした形状に終始しているところに物足り無さを感じていました。コストの制約もあり仕方のないところでもあります。

でもこの海外向けモデルだけは気に入ってます。丁寧にデザインされたノック部分や、全体のヌメとした感じをペンクリップ周辺の処理でキリッと引き締めた、そのバランスに好感だったのです。

今回のエッジ3でも、ただ使いやすい形状のダイヤルを採用するだけではペンの上端部分が無個性になってしまうところ、初代よりも大胆なサイズとよく吟味された折り曲げ形状のワイヤー式ペンクリップを配することで製品全体にメリハリを付けたのは見事です。またそうした作り込みをしながらも全体としてはシンプルさを維持できているところにデザイナーさんの技量を感じます。

  

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海外向けジェットストリーム・全景

  

外観をベタ褒めしてしまいました。筆記については「極細ペン先に太軸」 の組み合わせはやはり厳しく、小さな文字を書き続けるのには指先の細やかなコントロールに難儀をしますから、初代エッジと較べて書き心地の良さは少々劣ってしまいます。でもこれは、私がいつも言う「トレードオフ」の関係ですので受け入れます。

それでもオフセットされたペン先がそうした欠点をかなり補っていて、「書いていて悲しくなる」ことは全く無く、むしろ「カタチが好きだから工夫して使い続けたい」気持ちが勝ります。

筆記時間が長めとなるデスクワークでは初代エッジ、持ち歩きではエッジ3、みたいな使い分けをしてみたいと思います。

  

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この記事が役立ちましたら信頼文具舗サイトにもお立ち寄りください。 エッジ3は取り扱っていませんが、「万年筆風鉛筆補助軸・ミミック」や、エッジシリーズで書き込みしたいスリムなダイアリー「クオバディス・プレーン」などを取り扱っています。

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