昨年購入したフジフイルムのミラーレス一眼:X-E4。ようやく馴染んできました。
ミラーレス一眼と言えばEVF(Electronic viewfinder)により「ファインダーで見たままが撮影される」のがメリットで、しかもXシリーズにはフジフイルムが得意とする多彩なフィルムシュミレーション機能が備わっていますから、入手から半年以上経ったいまも新鮮な気持ちで使えています。
X-E4は、フジフイルムXシリーズのラインアップにおいて下のほうに位置するモデルかと思います。しかし本機を使っていて「上位モデルにすればよかった」とか「金額的に上位モデルが買えない後ろめたさが」といった気持ちにはなりません。将来もし上位モデルを入手したとしても、おそらくX-E4を手放す気にはならないと思います。
私はひごろカメラに限らず「製品のバリエーションに上下関係を作らないのが理想」と考えています。そのことを実現している同社の商品企画の上手さに感心しました。
もうひとつ。先日の記事(下記)でも触れましたが、ミラーレス一眼は「(レンズ)マウントアダプター」の使用によって「他社のレンズ」や「昔のレンズ」を装着しやすいことも知りました。
従来の「一眼レフ」カメラには、レンズとセンサー(=昔ならフィルム)との間に、撮影する画面をファインダーに導くためのミラーが存在しています。このミラーの奥行き寸法の分をマウントアダプターに置き換えれば、一眼レフカメラ用のレンズをミラーレスカメラに装着できます。しかもマウントアダプター両側の勘合面の組み合わせを替えることによって、レンズとカメラ、互いに違うメーカー(正確には違うマウント)の製品を装着することも可能です。
ただしX-E4のイメージセンサーはAPS-C規格サイズです。フルサイズ(または35mmフィルム)対応のレンズを装着すると光学特性に無理の無い範囲をセンサーに収めていると前向き(?)に考えています。
フジフイルムも純正のマウントアダプターを用意しています。ライカVMマウント/フジフイルムXマウントの変換アダプターです。ライカ向けのレンズをXシリーズにという、趣味性を強く感じる組み合わせです。
ところで私には昨年、カメラやレンズについての「事件」がありました。Nikon FM2Tと数多くのニッコールレンズがウチにやってきたのです。私の娘がフィルムカメラに興味を持ち、それを聞かれたさるかたから貴重なコレクションを頂戴してしまうことに。
その中には40年以上前に発表された Micro-Nikkor 55mm f/2.8s などの名レンズもあり、せっかくなのでNikon D500やX-E4でも試したい気持ちが出ていました。
今回導入したのはニコンFマウント/Xマウントのマウントアダプターになります。メーカーは「K&F Concept」。
「ニコンGレンズ」にも対応する、絞り羽根調整リング付きのモデルです。でも長年ニコン製品を使っていながらGレンズと言われてもピンと来ませんでした。「レンズ本体に絞り環は無いがマウント面に絞り羽根を調整する爪は付いている」タイプを指すようです。
見かけだけで言いますと、左のような昔のレンズから右のようなレンズまでだいたい対応しています。右側のレンズはGレンズになります。
そのほか、Nikon D500で愛用しているフォクトレンダーの28mmも使えました。
しかしGレンズであっても、レンズのピント調節を完全電子化してしまっているモデル…例えば私の手元にある「AF-P DX Nikkor 10-20mm f/4.5-5.6G VR」では、レンズ自体はマウントアダプターに装着可能で絞り調整もできますが、ピントを手動でが調節できず、無限遠のままになってしまいます。
Micro-Nikkor 55mm f/2.8s をセットしてみます。
見た目は少々ごついですが操作にまったく支障はなく、Micro-Nikkorの良さを堪能できました。40年以上も前に設計されたレンズをX-E4で使えるのは楽しいものです。フィルムシュミレーションも掛けられますし。
K&F Conceptはすでに数多くのマウントアダプターを世に送り出していて、このニコンFマウント/フジXマウントは(たしか)二世代目になります。オレンジ色のパーツが入っていて見た目は派手ですが、今回は二世代目という実績を見込んでの購入でした。絞り環も備わっていて少々重量はかさむものの、両マウント側ともにしっかりと勘合し、レンズとカメラボディーの双方を支える要(かなめ)の役割をしっかりと担っているように感じます。
なお、グリップ類の無いフラットなボディーのX-E4ですと重量の大きいレンズ群を左手だけで支えるのは大変なので、右手の親指を受けとめる「サムレスト」をセットしました。
写真のサムレスト(品番:TR-XE4)はX-E4のために開発されたフジフイルム純正のパーツです。しっかりと作られていて、これを装着しただけで重量級レンズの取り回しが一気に楽になりました。
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55年前に父がNikon F とともに買った Nikkor-S Auto 55mm f/1.2 もすんなり装着できたことに驚きました。
なぜ驚いたかと言いますと、あまりに古いレンズで「(何を言っているかさっぱり分からないかもしれませんが→)Ai改造が行われていないモデル」だったのです。Ai改造が施されていないレンズは Nikon D500 であっても装着すらできません。
それが、マウントアダプター経由とは言え X-E4にはすんなり装着できて、絞り操作を含めた撮影がちゃんと出来たことにビックリしたわけです。おかげで半世紀以上も前のニコンレンズf/1.2を味わうことができました。
ここ40年ほどはほとんど使われていなかったものの、途中ニコンでオーバーホールしていたためレンズカビ等なくコーティング美しく、機構的な動作もまったく問題ありませんでした。
ニコンの公式サイトに本レンズの開発エピソードが出ていました:
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マウントアダプターによって、新旧多くのレンズの性能や性格を簡単かつ同じ条件、同じセンサーのもとで比較できる素晴らしさ。しかもフィルムでなくデジタルですから、その場で結果を確認できるのもすごいことです。
なんとはなしに買ったマウントアダプター。たった4千円そこそこの投資でレンズについての知識を一気に深めることができました。
そう思いますと、きっかけを作ってくださったムック:「カメラホリック・レトロ」さんに感謝です。
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