和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

マルマンフェア2018に行ってきました

今年も「マルマンフェア」に行ってきました。
会場は昨年と同じ五反田の「東京デザインセンター」です。

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おなじみ「図案スケッチブック」のロゴマークがお出迎え

  

マルマン株式会社は日本のスケッチブック&ノートのメーカー。ダークグリーンとイエローがクロスしてあしらわれた表紙デザインのスケッチブック「図案シリーズ」は誰もが知っているマルマンの主力商品。そのほかルーズリーフやリング綴じノートも多くのユーザーに親しまれています。

私は2006年に共著として取材と執筆に参加した書籍「頑張る日本の文房具(ロコモーションパブリッシング刊)」においてマルマンの商品企画グループ(当時)を取材して以来いくつかのご縁があって、今年もフェアへのおさそいを頂きました。

本来は流通や小売店向けの展示会ですから、いつもどおり周囲の邪魔をしないようにササッと拝見しました。(いや、自分も細々ながらマルマンさんの商品を販売する小売店でした!)

会場では同社マーケティンググループの仲野様にご案内して頂きました(感謝)。本ページに掲載の写真は許可を頂いて撮影しています。訪問した時間帯はご来場者が多かったため、今回は会場全体の風景写真は割愛します。

本記事、フェアに行けなかったかたのご参考になりましたら幸いです。

  

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マルマン株式会社の新しいキーメッセージ

今年の会場はテーマ毎に6つのブースに分かれています。商品そのものの展示だけでなく、実際に店舗で販売する状態をイメージしやすい什器込みでの販売例の展示、商品をよりよく理解してもらうため水彩画家の先生を招いての体験コーナーなどもありました。

入口にはまず、同社の新しいキーメッセージ「Creative Support Company」の紹介ボードが。ここで言うクリエイティブとはアーティストやデザイナーさん達だけを指しているのではなく、ビジネスにおける創造的な業務領域も含んでいるとのこと。こういう象徴的なメッセージを掲げ、トップダウン型で企業のイメージを整えてゆく姿勢は良いことだと私は思います。

  

そして天井の高いメインホールに足を踏み入れると、巨大な年表が。

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大きなボートに実際の商品も掲げられた年表

マルマンが製造するラインアップに一番の特徴は「息の長い定番商品に溢れている」ことだそうです。確かに、みんな知っているスケッチブック「図案シリーズ」、リング綴じノートのパイオニアと言える「スパイラルシリーズ」、学生さんに人気の「ルーズリーフ」のいずれもが長寿ブランド商品です。ビジネスノートというジャンルを確かなものにした「ニーモシネシリーズ」も気づくと来年で登場15周年。

以前に配布されたパンフレットの内容を思い出しました。マルマンは昔から、まずは新しい生産設備を導入して革新的商品をいちはやく内製&量産化し、その後は時代に合わせにてこまめにマイナーチェンジを行ないながら商品をじっくりと育て作り続ける手法をとっていて、それがマルマンの強みであり、長寿ブランドの秘密なのだと再認識しました。

  

次はまさにマルマンの顔である図案スケッチシリーズ。今年で量産60周年なのは文房具がお好きな人ならばご存じのとおりです。

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「図案スケッチブックシリーズ60周年」のプレート

じつは図案シリーズが50周年の時、当時のキャンペーンで私も少しお手伝いをさせて頂きました。あれからももう10年と思うと感慨深いものがあります。また10年前とはくらべものにならないほど盛り上がっている60周年記念の数多くのキャンペーンを拝見し、マルマンの現スタッフの皆さんの頑張りを感じるところです。

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実施された60周年キャンペーンの紹介コーナー

ちなみにこの日ご案内頂いた仲野様は、図案スケッチブックがテーマ(!)となった一昨日(10月12日)のタモリ倶楽部にご出演をされました。番組をご覧になったかたも多いことと思います。いまの図案シリーズの人気、本当にすごいです。

  

日本のリング綴じノートの草分け「Spiralシリーズ」も会場入口付近に展開されていました。あまりに自然な見た目のためマルマンの製品であることすら気づかない人も多いのですが、このSpiralシリーズも登場年は1960年と古く、国内の多くの文房具店、大型ショッピングセンター、ホームセンター等で幅広く取り扱われている人気商品です。

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一日に六千冊製造されていたリング綴じノート「Spiralシリーズ」

最近になってSpiralシリーズの年間生産数を社内で数えてみたところ、1日あたり6000冊ものSpiralシリーズを作っていることが判明し、改めてびっくりしたとのことです。

(現行モデルではだいぶ控えめになっていますが)ノートの表紙にデザイン上のアクセントとして英文字を大きくレイアウトしたのは、日本ではマルマンのSpiralシリーズが最初と言われています。

その隣には同じSpiralシリーズのバリエーションである「Spiral Note Basic」も並んでいました。

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私がベーシックシリーズと呼んでいる「Spiral Note Basic」

美点は「足し過ぎず、減らし過ぎない表紙のデザイン」と、品質と軽さがバランス良く両立した用紙「MPS-N」の採用です。銀色の綴じリングも道具っぽくてイイです。

個人的にこのシリーズがとても好きで、ウチ(信頼文具舗)では「ごらんFW」にセットを推奨するノートのひとつになっています。

ベーシックシリーズもお店で少し目立たないので心配だったのですが、最近の5年間で売り上げは7倍に伸びているとのこと。これも他のマルマン製品と同様、長寿命モデルの線路に乗ったようでひと安心。

 

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来年15周年を迎えるという「ニーモシネシリーズ」

ビジネスノートという名称を確立させたライン「ニーモシネシリーズ」。今回新製品の発表はありませんでしたが来年で登場15周年を迎えるとのこと。拙著「頭が良くなる文房具(双葉社刊・2017年)」でもご紹介しているとおり、私はニーモシネのヘビーユーザー。来年の展開が楽しみです。

  

会場のなかごろにはルーズリーフ&バインダーの展示。学生さんの中にはルーズリーフを1枚ずつバラバラでしか使ったことがないという人も居るようですが、一方でバインダーをしっかり活用し「まとめノート」を上手に構築しているという話も見聞きします。

ルーズリーフ用のバインダーはシンプルな製品ながら、綴じ具や表紙の素材、色味、デザインを工夫して各社が個性を発揮させています。マルマンは以前より得意のアクセサリーである「ラミネートタブインデックス」を進化させ、大小2列のインデックスを備えたバインダー「セッションシリーズ」を開発しました。

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ルーズリーフバインダーの新製品「SESSION」

色分けされた大インデックス5段、白地の小インデックス5段、計10段の豊富なインデックスをルーズリーフでの人気サイズB5・26穴のバインダーに収容した製品です。

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マルマンお得意のラミネートタブインデックスを大小2列収容

インデックスはフィルム加工が施された丈夫なもので、頻繁にめくっても安心です。この大小2列のインデックスは単品でも販売されているので、すでにお使いのバインダーにも別途購入してセットが可能です。

「ラミネートタブインデックス」は、私の記憶では10年ほど前、たしかマルマンが大口ユーザー向けのカスタムメイドインデックスを提案する際に創案し、そのための専用の加工設備を工場に配置し生産態勢を整えていたものだったと思います。マルマンの強みは工場との緊密な連携にあるのでしょう。こうした設備を早い段階に準備することで今回の大小2段インデックスも支え、本ページ冒頭にも書いた通りシリーズの長寿命化に繋げていることが分かります。

   

バインダーの上位モデルを見てみましょう。ビジネス向けのルーズリーフ+バインダーシステムとして定着してきたブランド「ジウリス」。その2019年版ダイアリーが6つのカラーバリエーションを従えて展示されていました。

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美しいカラーバリエーションを揃えたジウリスダイアリー

どれも上手に調製されたカバー色ですが、個人的に気に入ったのはこのベージュです。9月に登場したiPhoneXsのカラー「ゴールド」と親和性を感じるもの。

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今年登場のiPhoneXs「ゴールド」にもつながる「ベージュ」

ジウリスのこのダイアリーはA5・20穴と一般的なルーズリーフ規格ですので、中紙の入手は容易かつ安価。ビジネスシーンでもルーズリーフが活躍します。

  

 マルマンの水彩画紙シリーズの人気商品「vifArt(ヴィファール)」は順次商品パッケージを更新中です。用紙の種類毎にテーマカラーを与えた美しい水彩画の表紙。写真の製品は「ヴィファール水彩紙・ブロック」。用紙の四面全てをノリで固め、ブロック状に綴じてあります。

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パッケージをリニューアルしたvifArt(ヴィファール)シリーズ

最近は個人で絵を楽しむかたがとても多くなり、画紙の性能だけでなく商品パッケージのデザインも重視されて買われているとのこと。部屋に置いて、それこそ「絵になるパッケージ」が求められているのですね。

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「部屋置きでの美しさ」にも配慮したパッケージデザイン

  

仲野様によると「昨今は店頭経由での周知がこれからという商品でもインスタグラムやツイッター等SNSのおかげで必要な人達に瞬間・直接に情報が届き、短時間のうちに熱心なファンが生まれる事例がある」とのことです。

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今年のヒット商品。ルーズリーフのスケッチ用紙とクロッキー用紙

写真の商品はその瞬間的ヒット商品の一例。ルーズリーフとして販売が開始されたスケッチ用紙とクロッキー用紙、そして図案シリーズのデザインをあしらったバインダーです。たしか2016年のフェアで発表されたものだったと思います。会場には作例が豊富に展示されていました。「ルーズリーフにスケッチ?」というギャップが新鮮です。

大ホールの隣の部屋には「マルマン・オリジナル文具」の展示コーナーがありました。企業ロゴやアニメのキャラクターが表紙にあしらわれた図案スケッチやクロッキーノートのコラボ商品などで、マルマンのオリジナル文具は少しずつ認知されていることと思います。

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マルマン・オリジナル文具を紹介するパネル

ここでも仲野さんの貴重な解説。「オリジナル文具といっても大きく3つの分類ができ、それぞれ違うものです。」

それはどういうことか…ここで言うオリジナル文具とは、マルマンがすでに商品化している製品に少し手を加えるものからマルマンが保有する生産設備を使ってイチから作るものまでを含めた「別製の紙製品(スケッチブック、クロッキー帳、リング綴じノート、ルーズリーフ等)」になります。仲野様の言う違いとはそれらの「用途の違い」を指しています。

  

1.物販用途

例えば、マルマンの図案シリーズスケッチブックの表紙に人気アニメのキャラクターを配し、それを文房具店や雑貨店、観光地や空港でのお土産屋さん、あるいはイベント会場で物販、つまり「商品として販売する」目的で作る用途です。ご当地スケッチブックやキャラクターコラボノートなど、皆さんも身近に見たことがあると思います。

  

2.企業・団体向けノベルティ

企業や団体が自社ブランドの周知・販売促進目的、あるいは記念品として(たいていは無料で)配布する目的で作るものです。マルマンの通常商品のイメージを温存しつつ企業ロゴをレイアウトした一見するとコラボ商品に似た物も考えられますが、物販よりも依頼主の企業ブランド周知が主な目的になるので、その目的達成のためのより自由な仕様になることもあります。ノベルティ品に仕立てるための手段はさまざまで、通常商品の表紙に企業名を金箔で箔押しするだけのものもありますし、ふんだんに企業の希望を折り込むものも考えられます。

  

3.企業・団体向けオーダー品

記念品とは関係無く、企業や団体の円滑な業務遂行を目的とした別製品です。と書くと大変高度な製品を想像しますが、別製のランクは簡単なものからフルオーダー品までさまざま。簡単なものではスケッチブックの表紙に「  ねん  くみ」の文字と枠線を印刷するだけのものもあります。工場や医療・介護現場では作業手順書をラミネートインデックスタブ込みで製本したり、各ページにチェックリストを印刷した日報や日誌に仕立てたりといった、見た目ではおよそマルマン製品だとは想像がつかない程度の別製ノートも展示されていました。

  

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ノベルティ品

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こちらは物販モデル

  

展示会の最後には、来場者が表紙と中紙を選べるオリジナルのリングノートをお土産のひとつとして頂戴しました。私はホワイトとクリーム2色のクロッキー用紙で、黒表紙&ゴールドリングのノートに仕立ててもらいました。せっかくなのでフェアのロゴ箔押し版に。リングノートずきなのでうれしい。さっそくアイディアノートとして活用します。

 

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お土産はマルマン用紙を選んで作るリング綴じノート

  

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マルマン製品が配されたトート(非売品)


   

今回も多くの展示から気になる製品だけを抜粋してのご案内でした。ニーモシネ、クロッキー、図案シリーズはほぼ毎日愛用しているので、各製品の進化と活躍をまるで自分のことのようにうれしい気持ちで見ていました。

展示会はメーカーのお祭りでもありますから、どれも楽しいものです。(他のメーカーの展示会も見てみたいのですが、なかなかご縁が無くて。)

今後もこのようなレポートをあげてまいりたいと思います。その時にはまた、宜しくお願いします。

    

  

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