和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

エピソード(1)「本は私のもので編集者さんのもの」

本記事は2017年12月に発売された拙著「頭が良くなる文房具」のエピソードについての小連載、その第一回目です。このブログのカテゴリー[頭が良くなる文房具]で連載の全てを読むことが出来ます。

  

おかげさまで先日、「頭が良くなる文房具」(双葉社)が発売となりました。

  

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まずは私が書いたリリース文をご紹介します:

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文房具ファンだけでなく、業界の各方面にも影響を与えた「文房具を楽しく使う」シリーズ(早川書房)の著者による最新作。今回は文房具を趣味の対象として意識しはじめた「文房具初心者」に向けた一冊になっています。

ウェブや書籍、雑誌等で掲載されている文房具の情報には新製品の登場を契機として書かれているものが少なくないなか、本書ではそうした要因から離れ、筆記具、ノートや手帳、各種デスク周り製品の「基本的なモノの見立てかた」を探り、提示してゆきます。

一見「著者愛用の製品とそれらの使い方紹介」という形で進行していますが、各章には様々な課題を折り込んであり、読者に考える機会を持ってもらうことをもくろんでいます。

本書で紹介している商品については各自でスマートフォンで検索して確認してもらうことで写真の掲載を少なくし、そのぶん、できるだけ多くの文章を収めています。

初心者には入門書として、マニアのかたにも楽しい読み物として手に取って頂きたいと思います。

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「文房具を楽しく使う」(早川書房)が2004年と2005年、「文房具の足し算」(ロコモーションパブリッシング)が2009年ですので、8年ぶりの本となります。「足し算」以降は相当忙しかったですし、歳のこともあって一度は隠居を考えたのですが、ノンフィクション作家の柳澤健様に昨年「文房具ジャーナリスト」の肩書きを「頂戴」したことに気を良くし、本についてのいくつかの構想だけは準備していました。

その後、双葉社の編集者さんと同席する機会があり、文房具初心者向けの本という構想について書籍化して頂けることになりました。

  

私の少ない経験から言いますと(当たり前ではありますが)本はいつも編集者さんからスタートするものです。いくら私が書きたいと思っても無理で、編集者さんの「作りたい」があって初めて本が生まれるわけです。

しかし編集者さんはそのぶん、本についての一切の責任を負うことになります。スケジュール、本の内容についての法的な準拠、予算管理から売り上げまで。

ですので、売り上げに直結するページレイアウトや本の装丁、帯もプロの判断の領域です。ときどき文房具本でも表紙から頁のレイアウトまで著者が関与する例がありますが、いまの私はプロにお任せして出来上がりをワクワク楽しみにして待つのが当たり前と考えています。

本書のイラストは荒秋様、装丁は金井久幸様。銅版画のように繊細な線で表現されたイラスト。表紙も帯も吟味された紙、暖かな手触りの見返し、紺色インクの本文など、みどころがいっぱいです。

 

編集者さんには「この本は間違いなく和田さんのもの」とおっしゃって頂きましたが、総監督である編集者さんの書籍愛が少しのスキも無く表現された一冊になっています。私の本文と共にお楽しみください。

  

頭がよくなる文房具

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