和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

最初に買ったコンデジ「リコーDC-3Z」には感激した

  

IT系ライターで古道研究家の荻窪圭さんが過去に買われたコンデジ(=コンパクト・デジタルカメラ)を処分せずに保管しているというお話(↓)に感化されて、今回のこの記事を書いています。

  

modul.jp

  

「昔の話を聞かされても」というお声もありそうですが、製品選びを楽しむのがウチのブログのテーマのひとつでありますので、お暇でしたらお付き合いください。

  

私が買った最初のコンデジはリコーの DC-3Z です。本モデルは1997年の発売です。DC-3Z登場以前にも、いわゆるデジタルカメラの類はすでに沢山の機種が多くのメーカーから出ていました。

  

RICOH DC-3Z(1997年)

  

デジタルカメラを必要としたのは、ほかでもなく、文房具のウェブサイトを作るためでした。筆記具からハサミ、ファイリング用品まで大小の製品を撮影し、それらの画像込みで読者さんに分かりやすく紹介しようと考えたのです。

しかし、当時はまだ趣味のサイト作りだったので機材にはお金を掛けられないですし、プロのカメラマンでもないですから、デジタルカメラ開発の本流であるニコンやキヤノン等のデジタル一眼には手が出ませんでした。

なにしろパソコンだけで40万円を超えるお金が必要だった時期です。さらに30万円のデジタル一眼は無理と言うものです。加えて、いずれの製品も性能向上と価格低下が超が付くほどのスピードで進行していたわけですから、仕事で使うのでなければ「買わずに少し様子を見る」のも製品選びのテクニックと言えました。

  

私の最初のウェブサイト「ステーショナリープログラム」は1997年4月のスタートです。

本格的なデジカメは無理でも、その時すでにカシオ(QV-10)やソニー(DSC-F1)からコンデジは登場しています。

ただ、その頃の手頃なコンデジのセンサー画素数は35万画素前後と荒く、筆記具など小さい物をキレイに撮るのにはレンズをできるだけ被写体に寄せる「接写性能」が欲しかった記憶です。

  

こうした板挟みの状況を一時的に解決してくれたのは、子供の成長を記録するために買ったビデオカムレコーダーでした。SONYの商品名:「ハンディカム」。このカメラには被写体に1センチ以下まで寄れるレンズが備わっていたのです。

ハンディカムで撮影しつつも録画ボタンは押さず、長いケーブルでハンディカムとデスクトップパソコン(Apple Macintosh)をつなぎ、パソコンに刺したビデオボード経由で静止画をキャプチャーする、思い出すだけでも面倒な方法で小物の撮影をしていました。

こんな少々アクロバティックな方法でその場をしのごうとするものの、「ケーブルの長さの範囲内でしか撮影できない」悲しい縛りに悩まされました。

  

そのようななか、救世主が現れたのです。「レンズから1cmまでの接写が可能」で「小型」で「安価」なリコーの DC-3Z です。

  

RICOH DC-3Z(撮影時)

  

(かなり使っていたので擦り傷だらけ。塗装は一部変色しています。ストロボ部分は最初からアンバー色がかかっていました。そこがカッコよかった)

  

センサー画素数こそ35万と他社製品と同等ながら、本製品が売りの1cmマクロ機能によって、筆記具等の細部を満足な画質で捉えることができました。また三脚に固定したままで大判のノートの撮影までカバーできるズームレンズも便利です。

そのほか、ボディーを横向きにして使う撮影スタイルとか、デスクに置いてプレイバックしやすいチルト式TFT液晶とか、液晶画面を開くと自動的にレンズバリアが開く仕掛けとか、各所が理にかなったデザインになっていたのもうれしいところでした。本ページに掲載している写真の擦り傷だらけのボディーの様子からも、私のDC-3Zがいかに活躍していたかが分かります。

  

デスクに置いてプレイバックしやすいデザイン

  

じつは、DC-3Z登場から数ヶ月前。単焦点レンズのDC-3が登場していました。この頃の2機種の位置づけは、単焦点レンズであるDC-3の上位機種がズームレンズ付きのDC-3Zになっていたはずです。記録方式もDC-3の内蔵メモリーオンリーに対し、DC-3Zはメモリーカード方式が採用されていました。

面白いのは、これら2機種から約8年後に登場し、RICOHをコンデジのトップブランドに押し上げた名機「GRデジタル」は、初号機から現在の最新モデルに至るまで単焦点レンズ仕様のみだということです。時々、GRからの派生モデルとしてズームレンズ付きの製品(GX100やGX200など)が出ても、あくまでGRが最上位モデルであることに変わりはありません。

なお私の場合、街撮りをすることは無くて文房具ばかりを対象にしているので、その後もずっとリコーのコンデジを買い替え続けるものの、すべてズームレンズ付きばかりでした。もちろんGX100もGX200も購入しています。

  

「35万画素(640 x 480 ピクセル)って厳しいよね?」って思われるかもしれません。風景や集合写真を撮ってプリントすると確かに笑ってしまうほどの画質です。けれどもウェブページに掲載するぶんにはそれほど痛くはなかったのです。

なぜなら、各家庭でのネットの回線速度が極めて遅かったため、ちょっとでも大きいサイズの画像をウェブページに貼るとブラウザのロードに時間がかかって読者に逃げられてしまう恐れがあったからです。

ステーショナリープログラムでは、けっこうな年数まで極めて小さい画像しか貼っていませんでした。大きくても 250 x 350ピクセル程度でした(しかもGIF形式)。その時の画像をそのままのサイズで以下に貼っておきますね。

  

StationeryProgram 1999年の画像(撮影:DC-3Z)

  

せっかくなので、当時のものとまったく同じ製品を Nikon Z6 で撮り、同じピクセル数&GIF形式に揃えた画像も下に貼ります。

DC-3Zの画は撮影環境に起因すると思われる「色かぶりが」強く、実際の製品の色味に近いのはZ6の画像ですが、この比較においてはDC-3Zの写りのほうが情緒がありますし、ハンドル部分のハイライトは明確で中央のネジのディテールもむしろ分かりやすい位ですね(苦笑)。

  

2023年の画像(撮影: Nikon Z6 )

  

RICOH DC-3Zの回はこれにて。私は筆記具と同様にコンデジもほとんど手放してしまったのですが、数台だけ残ってはいます。こうした過去のコンデジを記事にすることで(変な喩えではあるものの)「成仏」してもらえるかなと思ってもいます。

次回はいつになるか分かりませんが、ご期待ください。

  

  

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