和田哲哉 -LowPowerStation-

文房具ジャーナリスト・ステーショナリープログラム運営 / 和田哲哉のブログです

AUMEO AUDIO で自身のヘッドフォン生活をブラッシュアップ

ひごろお世話になっているかたからお声掛けを頂き、以前から気になっていた「 AUMEO AUDIO(オウメオ オーディオ)」をお借りしました。

  

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AUMEO AUDIO

本品は有線/無線(Bluetooth)両用のヘッドフォンアンプです。ただのヘッドフォンアンプではなく、ヘッドフォンユーザーの聴覚テスト~補正機能を備えているのが特徴です。( アスキー.jp × デジタル にAUMEO AUDIOに関する詳細な記事があります)

  

まずはその仕組みです。説明を簡単にするために、AUMEO AUDIOを「Bluetooth レシーバー」として使った場合の構成にします。

スマートフォン(iPhone)+Bluetoothレシーバー(AUMEO AUDIO)+ヘッドフォンの3つを用意し、iPhoneにはAUMEO AUDIO専用アプリ:「AumeoHub」をインストールしておきます。

この構成で最初に「聴覚テスト」を実施します。

  

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AUMEO AUDIOの「聴覚テストモード」

 AUMEO AUDIOとiPhoneをBluetooth接続し、アプリの制御によってAUMEO AUDIOから8種類の基準トーンを順番にヘッドフォンに送ります。トーンの種類は125HZ/250HZ/500HZ/1kHZ/2kHZ,4kHZ,8kHZ,12.5kHZです。ユーザーは各トーンについて、アプリ上の音量ツマミを操作して「トーンが聴こえる最小値」を順番に入力してゆきます。8つのトーンを左右の耳についてテストし合計16回入力します。テスト自体は手間はかからず、むしろ楽しいくらいです。

下図はAumeoHubに表示された私のテスト結果です。(ヘッドフォンはモニター用として評価の高いゼンハイザーのHD25を使用しました)

  

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聴覚テスト結果(sennheiser HD25)

図では(この日の)私は、左耳では4kHZ、右耳では8kHZの聴こえが少し悪いことを示しています。「オーディオ・プロファイル」と呼ばれるこの結果はアプリからAUMEO AUDIOに転送されます。

  

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AUMEO AUDIO の「音楽再生モード」

 

 音楽再生モードにおいて、AUMEO AUDIO はいわゆるBluetoothレシーバー(=Bluetooth ヘッドフォンアンプ)として稼働します。iPhone側の音楽再生アプリは種類を選びません。 Appleの「ミュージック」でも「Kaiser Tone」などでも大丈夫です。

オーディオ・プロファイルを受信したAUMEO AUDIOは、左耳では8kHZ周辺、右耳では4kHZ周辺について音量をピンポイントで増加させてユーザーに音楽を提供。これらの手順を経て、ユーザーは聴覚補正された「本来の音」を聴くことができる、という仕組みです。

  

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通常 AUMEO AUDIO はBluetoothレシーバーとして稼働

AUMEO AUDIOの取扱説明書上の案内は以上です。しかし、実際には取扱説明書に出ていない「興味深い課題」がいっぱい隠れているのです。

  

まず、自分の聴覚が日によって変動していたことが判りました。ユーザーは日常の生活で様々な音に触れているため、それらの音から耳を守るための感度補正機能が身体に備わっているようです。その補正値は毎日微妙に変動していると思われ、細かいことを言うのならば先の聴覚テストは音楽を聴くたびに実施するのが理想なのかもしれません。実際、私の聴覚テストでは日によって4kHZと8kHZの結果に少なくはない変動がありました。

  

ふたつめは、供するヘッドフォンの種類によってテスト結果が変わる点です。ヘッドフォンのドライバーは機種毎に性能や特性が違うため、AUMEO AUDIOが発振するトーンもヘッドフォンによって聴こえの差が出てしまうのです。

でもこれは、AUMEO AUDIOが「ヘッドフォンとユーザーとをセットにして補正する」という主旨で作られているため、運用上はまったく問題ありません。

私が言いたいのは、聴覚テストの結果が悪くても、それはヘッドフォンが原因である可能性もあり、ユーザーはそれを知っておくべきであるということです。実際 beryerdynamic社 の Aventho Wired ではHD25に比較して2kHZに大幅な谷間が出現しました。ついでに言うならば、AUMEO AUDIOの聴覚テストを介してヘッドフォンの機種毎のドライバーの特性を間接的ではありますが明確な数値の差として知ることとなりました。

  

みっつめ。さきほどのテスト結果をご覧いただいて分るとおり、私は8kHZと4kHZ以外の周波数については AUMEO AUDIO が用意したテストトーンの最小レベルまで「聴こえてしまった」ことになります。AUMEO AUDIO 本体には丸い大きな音量つまみが備わっていて、そのツマミをプッシュすると補正前/補正後の音を交互に聴けるようになっています。私の初回のテストではほとんどの周波数域で補正不要という結果になっているので、当然、補正前/補正後の音の違いがわずかです。

そこで考えました。AUMEO AUDIOが発振するトーンをさらに小さくすれば、(いまは「聴こえ過ぎ」の私にとって)より厳しい聴覚テストができるかもしれないと…。

  

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バード電子「 micro mixer DJ-4 」(写真右)

さきほどの聴覚テストの装置構成で、AUMEO AUDIO とヘッドフォンとの間にアッテネーター(減衰器)を加えればシビアなテストが実現しそうです。アッテネーターとして バード電子さんの「マイクロミキサー DJ-4」を用意しました。

DJ-4本体の追加による聴覚テストへの影響を確認するため、まずは DJ-4 のつまみを10(減衰無し)にして結果を確認します。

  

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DJ-4 追加(減衰無し)での確認結果

DJ-4の追加により 125HZと250HZに若干の減衰が見られますが誤差の範囲。この装置構成で次なる聴覚テストを実施してもよいことが分かりました。

いよいよDJ-4のレベルを8に減衰させて実施した聴覚テストが下図です。

  

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DJ-4追加(減衰あり)での結果

DJ-4による減衰の結果、私の周波数毎の聴力の差がより「あらわ」になりました。2kHZ~1kHZ帯の感度がピークで、高音域と低音域がそれぞれ下がり気味。さきほどの結果のとおり左耳では4kHZ、右耳では8kHZに谷。そして全体的に右耳のほうが聴力が低下気味であることも見て取れます。

このオーディオ・プロファイルを AUMEO AUDIOに転送し、曲を掛けてみました。当然ながら、今までとは大きな違いが。いよいよこの装置が面白くなってきました。

  

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HD25 と Aventho Wired

より鮮明な違いを見せたのが、Aventho Wired + DJ-4での結果です。 Aventho Wiredはもともとのドライバーの特性で高音域の低下が顕著です。低下した12.5kHZを補填された音はボーカルにきらびやかさが増し、また私がリファレンス(=試聴基準)に使用しているピアノ曲のペダルの残響音まで明確に聴こえるようになりました。これには驚きでした。

  

以上の一連の試しから、AUMEO AUDIOの持つ機能を通じ、自分の耳のこと・手持ちのヘッドフォン各機種の特性・音楽との付き合いかたなど多くの学びを得ることができました。いまの自身のヘッドフォン生活を明らかにブラッシュアップ出来た実感があります。

登場から3年以上が経過したという本品ですが、その独自性と先進性は維持されています。タイミングを見て自分も手元に置きたいと思います。

  

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AUMEO AUDIO (パッケージ)

ここで大切なのは補正前と補正後、どちらか片方の音が正しいというわけではないことです。補正した音が正しいとなると、各ヘッドフォンが持っている音の個性を否定することになりかねません。

AUMEO AUDIOは聴力補正装置と言うよりも、新しい切り口で音質調整が可能なオーディオイコライザーだと捉えると良いかと思います。

   

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