ロシア製のレンズを入手しました。
モデル名称は「VEGA-73 20mm F2」。
調べてもなかなか資料が出てこないのですが Chat GPTやGrok を介して「ロシアのLZOS(Lytkarino Optical Glass Factory、リトカリノ光学ガラス工場)」製造などが分かりました。いわゆる「シネマレンズ」で、16mmフィルム映画のカメラ向けに設計されたようです。
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きっかけは先月、奈良の興福寺様で開いた催事「春の筆記具案内所」の会場でのことです。私が奈良に来ていることを知ったNikon1ユーザーの「まひろ」さんが会場を訪ねてくださりました。
まひろさんは以前から「X」にNikon1で撮影されたお写真をアップしておられ、私もそのアカウント名を存じ上げていました。
まひろさん、Nikon1シリーズを複数台お使いとのこと。この日にお持ちになられていた機材はこちら。
Nikon1 S1にセットされていたのが「VEGA-73」なのでした。このセットを見させていただいた時は「可愛いレンズだなぁ」くらいの印象でしたが、その後にまひろさんが「X」にアップしたポストを見て心が動きました。
Nikon1 S1
— まひろ (@mahirooverdrive) 2025年3月16日
ВЕГА 2/20 pic.twitter.com/nt4g98TwAK
ひごろほかの人の真似をしないように気をつけている私ですが、ポストのお写真を拝見し、VEGA-73は「 Nikon1 V1の大切な通過点 」ではないかと思ったのです。
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VEGA-73の入手には少し気をつかいました。まず日本国内での流通量が少ないのです。十数年前に一部のマイクロフォーサーズ系ユーザーの間でこのレンズが流行ったようですが、いまは下火です。
レンズマウントも最初はよく分かりませんでした。
まひろさんのレンズは「Cマウント」のVEGA-73でした。Cマウントは元々は昔のシネマカメラの規格。その後は監視カメラのレンズや工作機械のセンサー用のレンズでもCマウントが採用されてきたようです。
かつてはニコンにもCマウントのシネマレンズが存在していました。しかし同時期にニコンは(詳細は分かりませんが)Dマウントのシネマレンズも作っていたとのこと。
VEGAのレンズでも複数のマウントが存在します。ebay(米国)に行けば多くのVEGA-73が出ていますが、マウントに関する分かりやすい説明書きが無いのがほとんどでした。なので、ちゃんとCマウントなのか確証を得てからでないと怖くて買えません。
もうひとつの問題は程度の良いVEGA-73が少ないことです。国内のオークションサイトやフリマサイトだけでなくebayなど海外サイトでも、掲載されている画像のどれもがボロボロの個体でした。最終的にヤフオクでロシアレンズを数多く扱っているアカウントから落札しました。
「Cマウント/1NIKKORマウント」のレンズマウントアダプターは千円前後で入手できました。ただし販売業者の多くが中国から発送するらしく、納期は注文から一週間前後になっていました。
いよいよ到着。丁寧な梱包を解いて現れた個体は使い込まれた外観ではあるものの、光学系はクリアで安心できるものでした。
驚いたのは「スカスカに軽すぎる絞り環」と「悲惨なくらいに重いヘリコイド」です。でも、まひろさんの個体もそんな感じとのことで、あまり気にせずこのまま付き合ってゆこうと思います。
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お待ちかね。V1へのセットです。
ご覧のとおり見た目は「良い収まり」となりました。
ちょっと疲れた外観のVEGA-73ながら、黒の色味は合っています。
シンプルなレンズマウントアダプターにも好感です。
手の中に収まるマニュアルフォーカスレンズのミラーレスカメラ。なかなか無いと思います。
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試写。
非純正レンズ装着時の Nikon1 V1 の露出モードは「M(マニュアル)」しか選択できません。事前にISO感度を設定&固定し、あとはレンズの絞り環とV1のシャッタースピード調節レバーで適切な値を探ります。
V1のファインダーのプレビューは実際の露出を反映してくれないので、まずはシャッターを切り、撮影結果を見て「当たり」をつけながら進めるしかありません。
さらに「マニュアルフォーカス時の拡大表示」や「フォーカスエイド」といった機能も無いのでピント合わせは至難の技です。ここでも撮ってみて進めるしかありません。
結果、20枚撮っても気に入った1枚が得られないこともしばしばです。
露出を絞れば普通に撮ることができます。でもニコン純正レンズで撮ればもっとコントラストが出て細やかな画になると思うので、本レンズはそれには至っていないと思います。V1の小さなセンサーのおかげ?で周辺減光はほとんど見られません。
絞りを開くと気難しさがあらわになります。下の画では中央部全体に霧がかかったような白いモヤモヤが出現しています。グルグルボケが出にくい背景を選んでますが、そもそも主題となる花も葉も妙につぶれた感じになってしまいました。
ただこれが「絵画的」と評され、SNSでは意外に人気でした。
こんどは夕方の撮影にし、光の入射角にも注意して白いモヤモヤを回避してみます(トリミングしています)。
手前の花(ノースポール)の白と車の青の対比がキレイに得られたものの、ピントも明るさも合っていません。中央部のノースポールのボケが汚いです。
いっぽう特殊な絞り形状のおかげで、奥の光ボケがコンペイトウのような可愛い形になっています。
こんどはピントに注力します。主題であるノースポールはクッキリと、奥の光りボケは可愛らしく。…でも中央の白い手すり付近のボケは汚くて気になりますが。
さきほどの2枚とほぼ同じ場所で。なぜかNikon1 V1 と VEGA-73 の組み合わせは葉の緑色がキレイに出ます。葉っぱばかり撮ろうかしら。
ありきたりな街の風景も撮っておきましょう。ピントの合いは気にせず、パンフォーカス的な使い方が気楽でイイです。
モノクロもやってゆきたい。でもこの時はカラーで撮ってあとで彩度を落として。
最後に、この日のベストショットです。不意な入射光が少ない夕暮れ時。低い解像度が加わり、「良いほう」に転がった結果です。
こんなに思い通りにゆかない機材は久しぶりです。でもヒトは思い通りに行かない時ほど気持ちが昂る(たかぶる)ものです。
(まひろさん、ありがとうございました!)
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