和田哲哉 -LowPowerStation-

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三菱鉛筆「ジェットストリーム エッジ」は3mm角文字筆記マシン!

昨年末に登場した三菱鉛筆(株)の新製品「ジェットストリームエッジ」を店頭で見かけたので購入しました。いや、見かけたくらいなら新製品であっても私は購入しません。今回は店頭で実物を確かめ、デザインが気に入っての購入です。

  

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パッケージに収まった「ジェットストリーム エッジ」

売り場にはいくつかの軸色が並べられており、オレンジが今回の限定色とのこと。私はホワイト+グレーの軸色に赤いペンクリップのモデルにしました。

製品は1本ずつ透明なパッケージに収まっています。パッケージごと製品を手にすると、筆記具が小さなショーケースの中に展示してあるような感じでキレイ。もともと製品それ自体がオブジェ的なシェイプなので余計にそう思うのかもしれません。

パッケージから取り出すと「やけにスッキリしているな」という印象。それもそのはず。日本のメーカーの筆記具のほとんどは軸に品名や注意書きなどがみっちり書かれたラベルが貼られていますが、本品はそれら文字類の全てがパッケージ側に印刷されていたのでした。

  

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グレー+ホワイト+レッドのトリコロール仕様

  

あらためて本体を見てみます。近年日本の各メーカーから登場している多くのボールペンがわりと万人受けするデザインに収めている印象なのに対し、本品は(月並みな言葉ながら)他とは違う、新しい、個性的な製品であることを訴えるカタチになっています。

もしこれがブルー/オレンジ/ブラックなどの単色モデルばかりだったとしたら、それほど新しさは感じなかったかもしれません。今回用意されたカラーバリエーションで唯一のコンビカラー:「ホワイト+グレー+レッドクリップ」の存在は製品の素材や各部の特徴をより鮮明にしていて、ジェットストリーム エッジの登場を引き立てていると思います。

なので、単色モデルは「みんなに自然に使われる用」、「ホワイト+グレー+レッドクリップ」のトリコロールは「ジェットストリーム エッジ登場のアピール用」と私は受けとめています。日の丸っぽいカラーなので海外からの観光客のお土産にも良さそうです。また今後は各パーツの色を変えた新トリコロールモデル、限定モデルなども登場することでしょう。白い本体色唯一の心配は、数年後に樹脂が黄ばむかどうかでしょうか。

  

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色分けされて分かる各部の形状

次は各部を見てみます。

ご覧の通りのスクエアなシルエット。グレーのグリップ部分は全域直径約10.5mmの円柱型。後ろの白い六角形部分の軸径はペンの先端側から後端に向かって一直線に細くなってゆきます。

グリップ部分と口金は金属部品のようです。口金は可能な限り肉を削ぎ落とし、いまどきのモデルらしく極細ペン先の先端周辺の視野をちゃんと確保していて好ましいものです。そういえばゼブラの新モデル「ブレン」は、持ちやすさや優しさのあるシェイプを実現しているものの肝心のペン先周辺の視野確保が微妙にできておらず「デザイナーさん何してるんだろう?」という感じでした。

グリップには縦方向の細かい溝が付いています。ここが製品用シャープペンシルによくある斜め交差線の「綾目ローレット」加工ではないことが個人的に歓迎です。私としては綾目ローレットによる滑り止めの効果よりも指先に伝わるあのザラッとした感覚の方が気になるのです。そもそもが大きな筆圧を必要としないボールペンですから過剰な滑り止めは不要。

では本製品の縦方向の溝はただの飾りかと言うとそうでもなく、指先でグリップを握ろうとする水平方向の力をちゃんと受けとめている気がします。

  

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六画断面の軸と「ギザギザ」ではないグリップ部

 

軸の部分は鉛筆のような明確な正六角形の断面です。白色の表面は塗装したかのごとく艶やか。ノックボタンは細身の樹脂で色はダークグレーです。

本体色にかかわらずグリップと軸との境界線にはノックボタンと似た色調のダークグレーのリングがはまっていて、機能的には軸とグリップとの勘合部材として、意匠的には軸の六角形断面とグリップの真円断面との違いをなだらかに繋ぐ役目を果たしています。

ワイヤーを曲げて作ったであろうペンクリップは本製品のデザイン上の大きな特徴になっています。このクリップがラミーのサファリに似ているという意見を見かけましたが私はそうは思いませんでした。上に向かって細くなる軸の上に「浮かぶ」細いワイヤーのペンクリップ。赤色の調製も含め、イイ感じです。

  

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白軸に真っ赤なワイヤータイプのペンクリップ

  

いよいよ文字を書いてみます。

まず始めに、「こんなに細く黒い線が書けるのか!」と衝撃を受けました。これ、製図用を除く一般向け筆記具の中で一番細い線を残せるものではないかな。こんな極細かつ真っ黒な線を自分の指で引けるとは、感慨深いものがあります。

これまでのジェットストリーム用インクには「ただただ軽い書き味」という印象があるのですが、ここまで極細になってしまったからなのか不思議と「ネチッ」した感覚が伝わります。

書く紙によってはボテ(=筆記中、ペン先周辺に蓄積するインクのかたまりが時々紙面に落ちてしまうもの)が頻繁に出ることがあります。もしかしたら従来のジェットストリームでもボテは出ていたのに本製品は超極細だから目立ってしまうのかな。

それとなぜか、ペン先を右に引いた際と左へ押し書きした際のインク湧出量に大きな差があり、左への押し書き時に描線がカスレます。上下方向でも同様で下から上へと書き上げた時にカスレが発生しています。これも継続調査します。

  

よく筆記具をテストする時、5mm方眼の中に順番に文字を書き入れる作業をするのですが、この製品なら2mm方眼でもいけそう。ベストは3mm方眼くらいかもしれません。ずっと3mm方眼の枠内にひらがなや漢字を難なく書き続けることができます。

いや、むしろ5mm方眼だと文字を書き続けるのは難しい。こんなに細字なのにグリップの直径が少々太めのストレート型なので、これを指先でコントロールして上下5mm以上の幅を移動させるのはちょっと億劫(おっくう)です。3mmの幅でペン先を振らせるくらいがせいぜいといった感じです。グリップ部分が11mmから9.5mm(→指でつかんでいる範囲の実測値)へとペン先に向かって細くなってゆく同社のシグノRT1でしたら5mmの振り幅は気にならないことから、筆記具のグリップ部の寸法と形状がそうさせていると推測されます。

ペン先のスイートスポット(=私が勝手に定義した用語。紙とペン先とが成す垂直方向の角度および水平方向の入射角度のうち、なめらかに書くことができる範囲のこと)は他のジェットストリーム製品に比べて狭く感じます。通常の文字筆記に実害があるかは継続して調査中。

  

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思いのほか華奢な外観の替芯

替芯はペン先の金属製チップにインクを収容する樹脂製のパイプが付いただけの華奢(きゃしゃ)な外観。「こんな替芯で極細の文字を書くのは大丈夫なのだろうか?」と一瞬不安になります。でも筆記具本体にセットする際には替芯の尾部を本体内のホルダーにしっかり挿す構造になっています。

筆記中は口金とペン先との間に多少のガタツキ(昨今では「ブレ」と言ったほうがいいのかな)は確認できるものの、ここは「三菱マジック」…なんの問題も無く書き続けることができました。多少ブレるのに気にならないのは同社製品であるシグノRT1の時と似た経験です。

思えば、華奢な樹脂製パイプは紙とペン先とのミクロな衝撃を吸収し、ペン先の当たりをソフトにしているのかもしれません。これが金属製パイプだったら書き味はどうなるのかと想像してみたり。

  

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「クオバディス・プレーン」(カバーはオリジナル)

前述の評価をいまいちど持ち込みますと、ジェットストリーム エッジは3mm角の文字を書き続けるのにちょうどいいボールペン。これは私が使っている小さいダイアリー:「クオバディス・プレーン」にぴったりです。プレーンはA6サイズ。その見開きに一ヶ月が収まるフォーマットなので極細の3mm角文字なんてウェルカム以外の何ものでもありません。ジェットストリーム エッジでプレーンに小さな文字を書き込むのが楽しくて、しばし時間を忘れてしまったほどです。

  

グリップ部と軸とが違う色ゆえ明確になっている「先端重め、尾部軽め」の重量配分はこの繊細なペン先でカリカリ楽しみながら長時間書き続けるのにはベストな設定だと思います。

ペンの重量配分については、本当のところは何が正解なんだろう?という部分に全く疑問を持たずして、いたずらに「先端側重心がいい」とばかり書く「専門家」が居るいっぽう、あまり筆記具をご存じでなさそうな「デザイナー」に任せてしまい、軸の後端にかなりの物量の金属製部品を付けてしまっている筆記具も登場したりしている昨今です。

このジェットストリームエッジの場合、あまり大きな筆圧を必要とせず、また多くの人はペンの先端側を持つことが予想され、筆記角度は(特に日本語筆記の場合)立ち気味で維持したいところから、本製品の適度な総重量、先端寄りの重量バランスと軸後端を軽く(ついでに尾部を長くしつつ見た目も軽く)したセッティングは納得の行くところです。

  

じつはこの記事をここまで書くのに一週間が経過してしまいました。通常の二倍の時間がかかっています。それだけ本製品が替芯も本体も「新しい」ことの証なのでしょう。書き味について、それとこの製品をどのような場面で使うのがベストなのかについてはまだ私の答えが出ていませんので、今後しばらくは毎日チマチマと本記事に加筆してゆこうと思います。(加筆修正しましたら記事の末尾に改版情報を明示します)

  

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