おかげさまで5月に公開したエントリー:「ニコンZfにはニコンのオールドレンズを」は好評のようです。
その内容は「オールドレンズを試しつつ、さらにレンズ全長の短い構成を追いかけていたら、日本光学(現:ニコン)がレンジファインダーカメラ用に供給していたレンズに行き着いた」というものでした。
結果、ニコンの最新ミラーレスカメラに70年以上も前のニッコールレンズをセットでき、私としては満足です。

・・・そこまでさかのぼる必要は無いにせよ、ニコンZfを購入したユーザーの多くが一度はZマウント以外のレンズ、特にオールドレンズを組み合わせてみたいと思うのではないでしょうか。
すでにご存じのことと思いますが、ニコンZマウントはフランジバック(レンズマウント面からセンサーまでの距離)がかなり短く、そのおかげでZマウント以外の比較的多くのマウント(=メーカー)のレンズを各種「レンズマウントアダプター」を介して装着できる大きなメリットがあります。
具体的に言いますと、たとえばソニーEマウントやフジフイルムXマウントのレンズはZマウントにも装着でき、それらのなかの一部のレンズは非公式ながらオートフォーカスも稼働の上で使えます。
先日お話しした、レンジファインダー機用であるライカのMマウントやL39マウントのレンズがセットできる点も見逃せません。
またニコンZシリーズのセンサー面をカバーしているガラスは他社製品に較べて薄い部類らしく、本来フィルムカメラ用に設計されたオールドレンズを装着しても光学上の問題が少ないと言われています。
(詳しくは、この問題にいち早く一石を投じられた元カメラレンズ設計技術者:「KIKU」さんのページをご参照ください):
こうしたZマウント自体の優位性に加え、なかでもノスタルジックなボディーデザインから、ニコンZfはオールドレンズをセットするミラーレス機として好適な一台になっています。
じっさい、2023年10月の発売からまもなく2年になるというのに見聞きする範囲でZfの人気は衰え知らずで、いまになってZfを購入するカメラ系インフルエンサーも複数見かけます。
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ここでいまいちど、ニコンのZマウント機で楽しめるレンズを箇条書きにしてみました。
1.ニコン純正のZマウントレンズ
2.ニコンのライセンスを受けた他社の現行Zマウントレンズ ☆
3.ニコンのライセンスを受けていない他社の現行Zマウントレンズ ☆
4.ニコンのFマウントAFレンズ
5.ニコンのFマウントMFレンズ ★
6.ニコンのS , L39 ,Cマウントレンズ ★
7.他のカメラメーカーの現行レンズ
8.他のカメラメーカーのオールドレンズ ★
9.他のレンズメーカーのオールドレンズ ★
これらのうち、☆印にはZfとのデザイン的な整合を意識して開発された製品も数多く出ていますし、★印のオールドレンズにおいてはそれこそ、Zfに違和感無く装着が可能です。
ざっくりとした言い方ですが、ニコンZfは現行ミラーレスカメラの中で一番、多くの種類のレンズを「ルックス込みで楽しめる」、希有な1台になっていることに間違えありません。
これはすごいことです。
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ただし、盛り上げておいてから水を掛けるようで申し訳ないのですが、本当のところは 多くのZfユーザーの皆さんが最初に買ったであろう「Z 40mm F2」だけでも十分ではないかとも思っています。
風景も軽ポートレートにも不満の無い解像度。昼夜を問わず美しく表現されるボケ味。エントリーとしても、カメラ慣れした人にも納得の性能があり、いつまでも楽しめます。
いまはこれにZシリーズの超売れっ子標準ズーム「Z 24-120mm F4S 」を合わせています。
私の場合、中学・高校の頃に使っていたAIニッコール時代のレンズがいくつかあり、加えてZf購入前後にたまたま先輩から数多くのAIニッコールを頂いてしまったので「オールドレンズの扉」を開けてしまいましたが、写りは当然最新のZマウントレンズにかなわないですし、人物や動きものを撮るのであればオートフォーカスが良いに決まっています。
(ただしAIニッコールをあれこれ使い始めた私がさらにこじらせてしまったのは先の記事に書いたとおりです)
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話を元にもどします。
W-NIKKORレンズが1本増えました。
これまでと同じ焦点距離3.5cmながら、もう少し明るいF2.5版です。

以前にお伝えしたとおり、W-NIKKOR 3.5cmには開放絞り値の違いで F3.5 , F2.5 , F1.8の3種類があります。このうち F1.8 は現在価格が高騰してしまい、おいそれと手を出せません。
F2.5までならなんとか行けます。
とは言え、いまや安価でコンディションの良いF2.5に「安全に出会える」機会は少なくなっています。F2.5はF1.8の次に人気なため、フリマサイトやオークションサイトに出品されている個体は危険度が高いのです。
そこでまた「不思議なご縁」の発動です。
かつてX-E4、XF27mm F2.8R WR、そしてNikonZfなど、それぞれ3ヶ月待ちが当たり前と言われていた状況が発生するたびになぜか在庫を有していて購入できた、拙宅のすぐ近くにあるミラクルな街のカメラ屋さん。なんと今回も公式サイトにおいて「F2.5在庫あり」の表示になっていたのです。
これは一度実物を見なければと、発見の翌日にお店へと向かいました。そこにはレンズの傷や曇りなどがほとんど無い良コンディションかつ極めてリーズナブルな価格の個体が待っていました。

焦点距離は同じながら外観はまったく違います。これは素材の違いで、F3.5は真鍮を銀色にメッキ処理したもの。F2.5の黒色の部分は主にアルミニウム素材です(F2.5にも真鍮メッキ版は存在するらしいです)。
真鍮メッキはノスタルジックなルックスが素敵なものの、重量はF2.5の115gに対しF3.5は170gと、1.5倍以上の差があります。レンズはカメラの前面側に装着するものなのでこの違いは大きく、アルミのF2.5をセットすると取り回しが本当に軽やかになります。
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当然気になるのは写りの違いです。F3.5 , F2.5ともにまだ少ししか撮影していませんが、いまのところ体感ではそれほどの差を感じてはいません。


まずF3.5は、絞り開放からかなりシャープな写りで「これ本当にオールドレンズなの?」と混乱するほどの性能を発揮します。
またF2.5の追加で私がボケに期待するかというとそうでもありません。なぜなら、どちらもヘリコイド付きのレンズマウントアダプターを使っていて、花を撮るような比較的近接の撮影ではどちらのレンズも十分なボケを作れるため、開放絞り値の差はあまり関係なくなってしまうからです。
ただ、さきほど登場の元レンズ設計技術者:KIKUさんに教えていただいたところによると、これらのレンズは開放絞り値という数値的な差よりも前に「レンズの内部構成」が全く違うとのことで、そうした部分を味わう意味で両者の比較は意味がありそうです。
(KIKUさんによるとF3.5は「テッサータイプ」。一方F2.5はニコン公式サイトの記述から「ガウスタイプ」のようです)
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最後に、少しだけ W-NIKKOR 3.5cm F2.5 の画像を載せておきます。




純粋な探求心で揃ってしまったこれらのレンズ。ノスタルジックな外観のF3.5を大切に使うか、軽やかなF2.5を残すか、ちょっと悩ましいことになってしまいました。
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