レンズの前面に装着している「レンズフード」。
この画像をご覧のとおり、ズームレンズや望遠レンズですと、レンズのサイズと比較してかなりの大きさになっています。
ほとんどの場合、レンズフードは着脱式です。
先日、レンフードの無い(装着できない)レンズで撮影中、こんなことがありました。
このレンズ。スリムで便利なのですが、少しでも逆光がある所や明るい屋外での撮影がとても難しいのです。周囲からの光の影響でコントラストが低下するどころか、すぐに画面全体が白っぽくになってしまいます。
ところがある日、たまたまレンズの左側に自分の手が来たら撮影画面がスッキリとしたのです。ほんの少し「レンズ前面の左側をかざす」だけでレンズ本来の能力が出ることが分かりました。レンズフードの役目を実感した瞬間でした。
これは極端な例でしたけれど、レンズフードって結構頑張っている気がします。
私が実際に経験した「レンズフードを着けていて良かった」事例をざっくり記します。
1.レンズ保護
だいぶ以前ですが、カメラにそこそこの大きさのズームレンズをセットした状態でストラップを肩掛けしていたところ、ストラップがすべってカメラをアスファルトの上に落下させてしまいました。レンズフードから路面に「着地」。一瞬身が凍ったものの、なんとレンズフード含め、レンズもカメラ本体も損傷を免れました。樹脂製のフードのクッション効果で助かったものと思います。
2.指の侵入防止
レンズフードを装着していれば、不用意にレンズ前面に自分の指先が被って写り込んでしまうのを防止できます。
3.手持ち撮影時のホールド性向上
剛性の高いレンズフードが装着されていれば、レンズとレンズフードを一緒に手指で掴むことができ、安定した撮影が可能になります。コンパクトなカメラを持っての縦位置での撮影で有効でした。
4.見た目がよくなる
レンズフードの形状にはいくつかの種類があります。カメラとレンズに加え、装着するレンズフードの選択が良ければカメラ全体のスタイルが向上します。下の画像はX-E4に「スクエアフード(商品名)」を装着した様子です。
5.有害な光の排除
これはレンズフード本来の役目です。レンズにとって意図しない方角から入射する有害な光を未然に防ぐことができます。
本記事の冒頭でご紹介した「画面全体が白くなる」は極端な例ですが、そこまで酷くなくとも有害な光の影響と思う場面はこれまでに多々ありました。有害な光への耐性を高めるのには、レンズフードの使用、必要に応じて使う適切なレンズフィルター、レンズ自体のコーティング、レンズ内部での不定な光の処理などが関わってくると思います。
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こんどはレンズフードによる「見た目の変化」についてフォーカスしてみましょう。
写りの善し悪しは横に置いておいて、「レンズフードを付けるとカメラが格好良くなるかも or 可愛くなるかも」と気付いたのは、8年前のニコンD7200にフォクトレンダーのレンズをセットした時です。
レンズの全長が短い、いわゆるパンケーキレンズをD7200に着けたくなり、フォクトレンダーのカラースコパー28mmを見つけて装着したのは良かったものの何かが足りません。そこに、すでに廃番になっていたニコンのメタルフード(HN-3)を合わせたら、なんとも良い具合に「見た目が完成」したのです。
パンケーキレンズでコンパクトにしたかったのにフードを着けたら満足した、冷静に考えるとおかしな話です。完成と言っても、それはノスタルジックな、あるいはコンサバティブなカメラのスタイルに寄せられたという意味なのかもしれません。
まあとにかく、私としましてはこんな体験があって、それから今に至るまで「カメラの見た目をレンズフードで整える」ことが当たり前になっています。
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いま使っているニコンZfでもレンズフードの話題には事欠きません。
まず、Zfに合わせて購入した単焦点レンズ NIKKOR Z 40mm F/2 について。このレンズには、もともとのZマウントシリーズレンズのデザインポリシーに倣った(ならった)モデルと、ニコンのオールドレンズの外観に寄せてZfとの見た目の親和性を意識した「SE」というモデルの2種類が存在します。見た目以外の仕様と性能はどちらも同じだそうです。
ZfユーザーでしたらSEをセットするのが普通です。でも私は「本当のニコンのオールドレンズ」を複数所有しているので、ここでは敢えてSEではない「無印の40mm」を選びました。
しかしさすがにそのままではレンズがZfに似合わない感じもあるため、ニコンのメタルフード(HN-3)をセット。見た目の「収まり」が良くなりました。
ニコンのオールドレンズ装着の際にもレンズフードのエピソードがあります。
常用するオールドレンズとして、いまは「 Ai NIKKOR 50mm f/1.8 S 」を選んでいます。
このレンズにもフードを付けたくて、最初はさきほどと同じHN-3をセットしていました。しかしレンズとフードとの世代が違うのか、いまひとつしっくりしません。
その時たまたま、編集者で写真家のアキヤマカヲルさんのブログを発見したのです。アキヤマさんも、Ai NIKKOR 50mm f/1.8 S をご愛用の様子。
その氏のブログの中に「このレンズの前モデルであるAI Nikkor 50mm F1.8(末尾にSのつかない全長の長いモデル)用であった金属製でスプリング式のHS-11…」の記述を発見したのです。
これを読んで HS-11 探しが始まりました。ニコンのメタルレンズフードは廃番品ながらまだ入手しやすいはずが、HS-11の美品はなかなか出会えません。結構な時間ののち、ようやく落手できました。
これまで装着していたHN-3と較べてHS-11は口径が絞られており、よりフード本来の効果は高まっていると思います。なによりAI Nikkor 50mm F1.8 S のスタイルに似合っています。
HS-11は「ねじ込み式フード」ではなくバネ固定式なので、バッグに収める際にはフードを裏返しにしてレンズにはめ込んでコンパクトにできます。
アキヤマカヲルさんのおかげで AI Nikkor 50mm F1.8 S のセットはこれで完成です。感謝。
Zfのレンズ、みっつめ。標準ズームレンズ NIKKOR Z 24-120mm F/4 S について。
このレンズに最初に備わっているのは花形タイプのレンズフード「HB-102」です。個人的には花形フードはちょっと好みではなくて、かと言って以前の標準ズームレンズNIKKOR Z 24-70mm F/4 S に装着できた角形の HB-75 はこれには付きません。
そんな悶々とした思いでいたところ、なんと今月19日に発売された NIKKOR Z 28-400mm F/4-8 VR 用の角形フード「HB-114」が装着可能との情報が入りました。さっそく入手です。
比較画像を撮影しました。
HB-114はHB-75ほどカッコいいわけではないのですが、四角いというだけでクラシックな印象となりZf には似合っているようです。
スタイルだけではないメリットもあります。HB-114 は端面がフラットですから、フードを下にしてレンズを安定して立たせることができます。これは屋外でのレンズ交換時に助かりそうです。
以上から、いまZfで常用しているレンズ3本の全てについて「フードで盛る」を実施していることになります。
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