Nikon Z6ユーザーだった私がZfを手にして感じたことを書きます。
Zfに買い替えた詳しい経緯については前々回の記事をご覧ください:
1.同等のセンサー・異なるコンセプト
Nikon Z6の登場は2018年。有効画素数2450万画素、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラです。ニコンのミラーレスカメラの中では中級モデルの位置づけになります。
2020年にはほぼ同じデザイン&同等センサーながら画像処理性能などを高めた後継機:Z6IIが登場します。
私はZ6IIの登場からしばらくして価格がこなれてきたZ6の初号機を 2022年に購入 しました。過去25年近くさまざまなデジタルカメラを使ってきて、「静物しか撮らない」・「ウェブ用の小さな画像にしか使わない」という実績から初号機で十分と判断しての購入でした。しかも前機種がDXフォーマット( = APS-C)の Nikon D500でしたから、私の用途を考えれば十分すぎるステップアップでした。
今回やってきたZfは、Z6初号機と同等の2450万画素フルサイズセンサー搭載機です。ファインダーの画素数も369万ドットで同じ。使用するバッテリーも「EL-15c」で共通です。同じなのはそれら3つくらい。それら以外は、コンセプトから各部の仕様、製品としての作り込みまで、全くと言っていいほどに違っています。
Z6はフルサイズセンサーかつ大口径Zマウントでありながら、ミラーレス一眼のメリットを最大限に生かしたコンパクトなボディーが特徴です。コンパクトでもグリップ部分のボリュームはたっぷりとあります。
いっぽうのZfはフィルムカメラを思わせるスタイルで、グリップもほぼ無いに等しいものです。ニコンの公式サイトには「歴史的なカメラにインスパイアされたヘリテージデザインと最新性能を両立したミラーレスカメラです」との説明があります。
その説明のとおり、Zfはノスタルジックな外観でありながら上位モデルが採用している画像処理システムを搭載し、手ブレ補正機能については上位モデルを超えるスペックになっています。これらの仕様はまもなく登場が噂されるZ6IIIに近いものだと言われています。つまり、見た目が懐かしいだけなく高度な撮影にも対応できる一台になっています。
2.大きい・重い!
Zfのパッケージを開いて、手にした第一印象は「大きい」そして「重い」でした。
正直なところ「失敗したかな?」と思いました。
これまでコンパクトなZ6を使っていたわけですから、なおさらそう思うのでしょう。
それぞれのサイズと重量を測ると、ボディーの横幅はZfが10mm大きいだけで、重量も45gしか変わりません。45gなんて、筆記具2本程度の重さです。
ただ、トータルでは10mmの違いですが、ボディにおけるレンズマウントの位置関係が違うのです。
Z6ではレンズ左側の寸法を詰めて「左手からのレンズへのアクセス」を最大限に高めています。レンズマウント揃えにした場合、左手側におけるZ6とZfとの寸法差は14mmにまで拡大します。撮影時に感じるZ6の「体感上の小ささ」は、レンズマウントのレイアウトによって強調されていたようです。
Z6のグリップの大きさ、それによる「握りの深さ」も見てとれます。Z6のしっかりとしたグリップにより、大きなレンズを装着しても何の苦もなくカメラを取り回せていたことに改めて気付かされます。それがZ6の「体感上の軽さ」に繋がっているわけです。
3.ピカイチ・スリム
Z6ユーザーだったからこその「大きい&重い、Zfショック」に見舞われたものの、メリットもありました。
Z6はグリップ側だけでなくファインダー側にもかなり「突出」しているのです。いっぽうのZfはレンズを装着しなければ本体のベース部分の厚みだけ。スリムなバッグにスルリと収まってしまいます。
これは私の日常にとって本当に助かります。わざわざ撮影のために出かけることはめったになく、仕事での外出がほとんどです。ですのでカメラはスリムなショルダーバッグに忍ばせたい。カメラボディーとレンズを外しての持ち歩きが普通ですし、一緒にiPadやMacBookなど「大きくて平らな製品」も収めたく、持ち物はできるだけフラットであってほしいのです。
Zfのボディーをバッグに収める際には、ボディキャップ代わりに極めてスリムな「ボディキャップレンズ・7Artisans 18mm F6.3 II 」を装着しています。こうしておけば「持ち運び中のカメラ」にもかかわらず、バッグから取り出してすぐに撮影スタンバイとなるのです。
このレンズは Xマウント版を FUJIFILM X-E4 で使っていました。Zマウント版もありますが DX (APS-C) 対応なので ZfではDXにクロップする必要はあります。クロップすると27mm相当になります。
4.気になるカタカタ音
Zfを手にして気になるふたつめが、本体から聞こえる「カタカタ」音です。Zfの電源をオフにした状態で本体を軽く振った時にこの音が出ます。発生源はカメラの画像センサーです。電源オン時にはセンサーは手ブレ補正機能が働いて、アクチュエーターがセンサーを支えるのですが、オフでは支えが無くなってしまうのが原因みたいです。
ところがZf以外のニコンの手ブレ補正付きセンサーは電源オフ時にセンサーの揺れをロックする機能(?)が付いているらしく音は発生しません。ニコン公式ではセンサーに影響は無いと言うものの、なぜZfだけ?という疑問は消えません。このカタカタ。Zfの品質感をおおいに損ねている気がするのですが。
5.Zfはオールドレンズ向け
「ヘリテージデザイン」。わかりやすく言えば、Zfは昔のニコンのカメラを復刻させたデザインです。懐かしいルックスにしたことで、いままでにはないユーザーを得られるかもしれません。いっぽうの私にとりましては、ニコンが公式に「これで、古いレンズも装着して楽しんでくれ」と言ったと解釈しました。多くの人もそう思ったことでしょう。
Z6は機能的なデザインですが、マウント部の径が小さい傾向にあるオールドレンズの装着には見た目が似合わないところがあります。
そもそもNikon Zマウントは、大きなマウント部の口径による効果がZシリーズレンズの性能の優秀さに結びついているものの、そこに口径の小さい各社オールドレンズを装着するのにはルックス上の無理がありました。
Zマウントとオールドレンズ側マウントとの間をつなぐサードパーティー製の「レンズマウントアダプター」は、できるだけその口径差を感じさせないよう、デザインに留意して作られています。
ところがZ6では、レンズマウント部の周囲に、デザイン上の造形としてさらに大きな円形の輪郭が彫られているのです。
せっかくマウントアダプターが頑張っても、Z6では大きな輪郭線から始まってオールドレンズの小さいマウント部へと段階的に「円がすぼまってゆく」感じになってしまいます。これがどうにも気になってしまい、Z6へのオールドレンズの装着をためらっていました。
Z6の名誉のために言わなければならないのは、この輪郭線を加えたデザインは、高性能が期待される大口径Zマウントの優位性を強調したものであっただろうということです。また、Zマウントレンズを装着した際には、Z6のコンパクトなボディーにもかかわらず、ボディーとレンズとのベストマッチの見た目が実現しています。
これからまだまだ、Zfを手にして感じたことはいっぱいあるのですが、キリがありません。今回はこのへんで、ページを公開したいと思います。
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