和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

良い意味で手頃・オーディオテクニカATH-AR3BT

話は今年の帰省先から。娘がBT(Bluetooth)ヘッドフォン(インナーイヤータイプ)を家に忘れてきたというので、代わりになるヘッドフォンを買いに近くのヨドバシカメラまで行きました。

前回の娘のゼンハイザーの時と同様、あれこれ試聴したのち、今回はオーディオテクニカのATH-AR3BTに決定。実売で1万円を少し切るくらいのものです。

  

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オーディオテクニカATH-AR3BT

ところが店員さんにお願いすると「さきほど売れてしまったばかり」とのこと。試聴のご恩があるので、すぐにヨドバシの通販に切り替え、翌朝の受け取りになりました。

  

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BT版になってもオーディオテクニカの良さが出ているデザイン

  

オーディオテクニカは日本の音響用品メーカーです。アナログレコードプレイヤー関連製品(アームやカートリッジ)、マイクロフォン、ヘッドフォンなどの精密なオーディオアクセサリーを開発・製造しています。そのほか業務用の放送機器なども。本社が拙宅からすぐ近くの東京都・町田市にあります。

  

ATH-AR3BTは低価格の密閉型ヘッドフォンにBluetooth通信機能を加えたもので、ヘッドフォンケーブル有り/無しの両方で使うことができます。

  

外観について

ヘッドフォン本体の各部位はシンプルな面で構成されながら力強さも感じられ、小型なのに適度な存在感があって好印象。若い人はもちろんのこと、シニアが装着してもカッコ良さが保たれるスタイルにはデザイナーの腕の良さを感じるところです。

左右のハウジングには、おなじみオーディオテクニカのロゴマーク。本体色はブラック/ホワイト/レッド/ブルーの4種類あり、ブラックとホワイトには写真のようなゴールドの「色差し」が入っています。

私から見るとゴールドの輪はちょっとオジサンぽいかな?と思ったものの、娘はむしろこのゴールドが気に入っていて、ブラック一択(いったく)だそうです。

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コンパクトなハウジングにφ40mmのドライバーを収容

  

仕様について

本機は直径40mmの立派なドライバー(=スピーカー部)を備えていて、イヤーパッドは小型のオンイヤー(耳載せ)タイプ。

上位モデルATH-AR5BT(実売1万六千円くらい)はドライバーが45mmとなりますが、店頭での試聴では中低音がやや締まりの無い印象だったのでAR3BTで良いのでは?と判断しました。(他のレビューによると高音域のスッキリ感はAR5BTのほうが少し上と書かれていました)

バッテリー駆動時間はカタログ値で30時間と充分なものです。 作りの良いヘッドフォンケーブルが添付されていて「 BT無し(=有線)+電源OFF 」での使用も可能です。

  

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左側に音量+操作系スイッチ、右側に電源+同期スイッチ

 

BTヘッドフォンですがNC(ノイズキャンセリング)機能は備わっていません。

iPhoneからヘッドフォン端子が消えて久しく「とにかく手頃なBTヘッドフォンであればいい。高額になりがちなNC機能は無くてもいい」という需要はあるはずで、そこにこの ATH-AR3BT が登場するわけです。

 

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オンイヤータイプなので MOMENTUM WIRELESS よりコンパクト

  

オーディオテクニカにはBT無し(=有線ヘッドフォン)のATH-AR3(実売五千円前後)というモデルがあり、ドライバー自体のランクとしてはこのモデルに準じるものと思われます。

BTヘッドフォンは音声データを無線で飛ばすために有線ヘッドフォンよりも音質が落ちると思われがちですが、ヘッドフォンのドライバーを鳴らすアンプ(=回路)がスマートフォン側のそれに依存せずヘッドフォン内部のもので行われるため、ヘッドフォン側のアンプの部品や設計・調整が良ければBT経由でも良い音が期待できます。

  

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同じく娘が使っている HD25-SPII と大きさ比較

  

音について

まずBTを経由させずヘッドフォンケーブル直挿し+ヘッドフォンの電源OFFにて。中低音は程よい量感あり力強くも引き締まっていて好感。直径40mmのドライバーの効果でしょう。何も音質調整をしない状態でも125HZ周辺がしっかりと出ていてエレキベースの力強さや弾む感じを心地よく楽しむことができます。

高音域はオーディオテクニカの味付けなのかドライバーの能力なのか抑え目に感じます。高音と言っても6kHzから12kHzあたりの低いほうの高音域です。このセッティングはジャズやエレクトロニカでそれほど気にならないものの、ボーカル中心の曲になると比較的明確に現れ、声のスッキリ感が少し低下し「まるっ」とした感じになります。しかし、さらに高音域が主体となるはずのピアノのペダルの残響音は明瞭に聴こえるのですが。

最近多いEDM(Electronic Dance Music)あたりを考えるとこのあたりのセッティングが好まれるのでしょうか。

  

ヘッドフォンケーブル直挿し時の音を比較対象(=基準)にして、次はケーブルを外しBT経由での場合。すぐには両者の違いは感じず優秀。中低音域の適度な力強さはこちらも健在です。もう少し聞き込むとBT経由のほうが音の分離も広がりも若干不足していて、各パート(楽器)がケーブル有りの時よりも若干「ごちゃっ」として感じます。

ケーブル直挿しでも気になっていた高域の不足感、と言うかボーカルの「まるっ」とした感じはBT時でも変わらずあり、音楽再生アプリ側で積極的に音質調整を掛けたくなります。

BT時の、おそらくヘッドフォンアンプが発していると思われるホワイトノイズ(「シー」音)はわりと有って、音のスッキリ感について少し足を引っ張っています。これは屋外で聴くのにはそれほど問題の無いものと思います。もしかしたらこのホワイトノイズが、さきほどの「ごちゃっ」とした感じを作っているのかもしれません。

  

ついつい追い込んでしまうので厳しく書いてしまいましたが、私がオーディオテクニカの音の傾向に慣れていないからということもあります。少なくとも、私が聴いて大きくガッカリするようなことはありませんでした。NC機能付きまでは手が届かないけれどBTヘッドフォンは欲しいという要求をうれしい結果へと導いてくれる、良い意味でお手頃なヘッドフォンだと思います。

自宅での聴き込み用とお出かけ用を使い分けるとして、お出かけ用として多くの人に楽しめる、コストパフォーマンスの高い機種です。自宅ではケーブル直挿し、お出かけでBTモードでも良いかもしれません。

  

なお「オーディオ好き」を自認する人(と言いますか、音の細かいことが気になって仕方がない人)は、やはりもっと価格の高い機種を選択することをおすすめします。ドライバーのグレードが上がれば、先ほどの6kHzから12kHz領域を軽快に鳴らしきってくれるはずだからです。

  

*追記になります*

iPhoneであれば、標準アプリ「ミュージック」の「イコライザー(=音質調整)」を「Treble Boost(=高音側強調)」にすると、多少高音過剰ながら私としては好みの傾向になりました。

きめ細かな音質調整をされたい場合には、iPhoneであれば「KAISER TONE」などの音楽再生アプリの導入も検討されると良いでしょう。KAISER TONE のデフォルトの音質設定「iTunes Perfect」にするだけでも、本機の「まるっとした音」への改善効果があります。

  

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ヘッドバンド部分の作りの良いクッション

  

美点は本体各所の丁寧な作りです。ヘッドバンド部分にはシンプルな見た目ながら作りの良いクッション材。イヤーパッドも装着調整用のヒンジ部品もしっかりとしていて、毎日気持ちよく使えます。交換用イヤーパッドやケーブルも別売りで用意されています。長く愛せる製品になっていると思います。

 

 

 

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ドライバーを内側にして折りたたむタイプ

  

ヘッドフォン端子の無くなったiPhoneを使うユーザーが通勤通学で気軽に音楽を楽しみたい。コンパクトなオンイヤータイプのBluetoothヘッドフォンを手軽な価格で探している人に好適ではないかと思います。

  
(以降はAmazonのアフィリエイトです) 

  

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