和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

ヘッドフォンのレジェンド「ゼンハイザーHD25」を復活させました

  

安価なモデルが中心ながら、わりと頻繁にヘッドフォンを買ってきました。新しい製品には多くの発見がありますし、同じ曲でもヘッドフォンの数だけ違う音を楽しめます。

  

ヘッドフォンの製品寿命って意外と短くて、毎日使っていればイヤーパッドの表面は数年でボロボロになりますし、使っていなかったとしてもイヤーパッド内部のウレタンが劣化することがあります。充電式であれば充電池の性能低下もあるでしょう。

2014年に買ったMo-Fiは5年ほどでパッド類がすべてボロボロになり部分交換ができないので処分しました。イヤーパッドの交換ができても、メーカーのサービスに出さなければならず、高額な技術料を取られる機種も普通に存在します。

  

そのようななか、18年(※1)近く使い続けているモデルがあります。ゼンハイザーのHD25(HD25-1 II)です。

※1:正確には2013年にドライバー部を無理に分解して壊してしまったので、一度買い替えはしていますが。

SENNHEISER HD25-1 II (改)

  

HD25シリーズ。拙ブログではこれまでに何度もご紹介しているモデルなのでご存じのかたも多いかと思います。

おそらく当初は放送局向けの、とりわけ屋外での収録や中継放送用のモニターとして開発された、ホームオーディオとは用途の違う「ヘビーデューティー」な機種です。それがいつのまにか、DJがステージ上で使うヘッドフォンの世界的定番モデルとして広まることとなりました。

実際、HD25が収まっている製品箱には、一時期はENG(Electric News Gathering=番組取材システム)向けと記載されていたものが、最近では「DJ」の2文字が配されていたりします。

「for ENG」と記載されたHD25の昔の製品箱

  

HD25が備える「ヘビーデューティー仕様」には次のようなものがあります。まず落下時の損傷を最小限にする「無塗装の軟質樹脂素材」や「超軽量設計」です。また同じ目的で、ヘッドバンドとドライバー部の組み付け部分には繊細な部材やネジ類を使わず、あえて素朴な嵌合方式を採用しています。

次にメンテナンスのほとんどをユーザーにゆだねている点も特徴です。HD25を構成するドライバー、ヘッドバンド、ケーブル、イヤーパッド、ヘッドバンド用パッドのすべてが単体部品として市場に供給されていて、簡単に購入し交換が可能です。壊れてもサービスセンターに出さなくて済むという「システム」をHD25以外であまり見かけません。

  

こうした「モジュール交換可能な仕様」と「いつでも部品単位で購入できる安心感」から、HD25のヘッドフォンケーブルを独自のものに換装(=リケーブル)したり、さまざまな改造を施したりという「文化」も生まれています。

私もそのひとりで、これまでHD25に多くの「実験」を行ってきました。

  

これまでにHD25で行ってきた「実験」

  

特に面白かったのは、もともと有線ヘッドフォンだったHD25にBluetoothレシーバーを載せ込んだ「無線化」でした。HD25の個性的な音質をワイヤレスで楽しめるのは格別でした。

  

blog.sprg.jp

  

その後、ゼンハイザー社も察知をしたのか、HD25風外観のBluetoothヘッドフォン「HD250BT」を発表します。私も早速購入しました。しばらくは外出時にはほとんどコレで済ませていました。(コロナ禍の影響で、そもそも外出の機会は少なかったのですが)

  

blog.sprg.jp

  

しかし、HD250BTは手軽ではあるものの、根本的な音づくりはHD25のそれとは大きな相違があります。私が聴きたいジャンルの曲を楽しむのには合致していない部分もありました。

そこでHD25の復活となります。さんざん私の実験に付き合わされた末に引き出し保管となっていたHD25を取り出し、これに新しいヘッドフォンケーブルをセットしようと思います。

  

本当でしたら、以前にお世話になった「まめしば」さんに特注ケーブルをオーダーするところなのですが、残念なことにまめしばさんはずっと音信不通の状態です。そこで秋葉原のオヤイデ電気さんを訪ねてみました。

  

HD25ユーザーの聖地(?)、オヤイデ電気さん

  

あえて「HD25ユーザーの聖地」と表現してみました。理由はHD25の換装用オリジナルケーブルをいちはやく登場させ、現在も供給をされているからです。ドライバー側の特殊なプラグもここで買うことができます。

オヤイデさんオリジナルのヘッドフォンケーブルには、当初は「単結晶状高純度無酸素銅・PCOCC-A導体」を採用していたモデルが用意されていましたが、そのケーブルがメーカー廃番になって以降は「精密導体・102SSC」を採用したモデルが引き継いでいます。

HD25の換装用ケーブルは、いまや国内外の各社から出ているものの、ケーブルの丈夫さや手頃な価格などで現在もオヤイデさんの製品にアドバンテージを感じます。

  

前述のとおり、最近の私はヘッドフォンケーブルのバランス接続化ばかりやっていました。しかしオヤイデさんにはバランス接続版のHD25用ケーブルはありません。

「オヤイデさんに別製ケーブルはお願いできない」と思い込んだまま、この日、お店に立ち寄りました。お店のスタッフさんにお会いし直接お聞きしてみるとそんなことはないとのことで、しかも「まずはお客さんの希望を熱く語って欲しい」という嬉しいお言葉まで頂いてしまいました。

さらにお聞きすると、オヤイデさんオリジナルの一般販売モデルを元にした小変更だけでなく、部品さえ揃えばフルオーダーもお願いできるようです。これは期待。

  

手始めに今回は一般販売モデル「HPC-HD25 V2」をベースに、ヘッドフォンプラグだけφ2.5mmバランスに変更した「セミオーダー版」を注文しました。製作期間は一週間少々。オヤイデさんならではの丈夫なケーブル仕様のバランス接続モデルが完成です。

  

φ2.5mmバランス仕様の HPC-HD25をセットしたHD25

  

さっそく、Bluetoothレシーバー:BTR5に接続。クリアな高音域と誇張の少ないタイトな低音域を得ることができました。次回はケーブル長を極端に短くしたモデル、あるいはBluetoothレシーバーをヘッドバンドに固定する配置でのケーブルをお願いしたいと思います。

  

***

  

その後、このHD25を手にしましたら、今度はイヤーパッドが破けているではありませんか。普通ならガッカリするところですが、HD25なら大丈夫。心の中は「頑張ったね、取り替えてあげるよ!」な気分です。

  

8年間の使用で破けたHD25のイヤーパッド

  

HD25用のイヤーパッドはネットで¥1,716./ペアで売っています。なお、これまでのイヤーパッドは8年間使えました。

  

イヤーパッドはヘッドフォン系通販で簡単に購入可能

  

思えば私のHD25はYMOのライブ版を聴くために買ったのがはじまりでした。ことし亡くなられたユキヒロさんと坂本龍一さんを偲んでYMOを聴きたいと思います。

    

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