和田哲哉 -LowPowerStation-

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ナイトコアP18はハイスペックEDCライトの新標準?

文房具を専門として活動している私ですが、フラッシュライト(いわゆる懐中電灯)についても興味を持っていることは、日頃このブログをご覧になっているかたにはご存じの通りです。

小学生の頃お祭りの露店で売られていた、透明な樹脂ケース越しに中の乾電池が見えるキーホルダータイプのフラッシュライトを買ってもらったのが最初だったと思います。以降はお小遣いの続く限り「新型を見かけるとすぐに買う」を繰り返してきました。

大学生になって北米に行ってみると、これまでに見た事もない銘柄&機種が大量に存在することを知り、衝撃を受けたものです。あちらは住宅が広大な敷地の中にあって、ガレージが別棟になっていたり街路灯が少なかったりとフラッシュライトが活躍する場面がとても多いのでしょう。

革新的技術「LED」の登場により、フラッシュライトの世界も大きな進化をとげます。それとともに(あまり知られていませんが)フラッシュライト・マニアの人口も確実に増えているようです。特に「タクティカルライト」という、その道のプロ(*1)が使うような強力な光と高い防水性能を備えたヘビーディーティーなモデルを愛好するマニアさんも存在しています。私の知人にもおられます。

(*1:警察官・SWAT・警備員など)

さすがにタクティカルライトの専門ではないものの、今回初めてそのジャンルに近い製品を手に入れることになりました。「ナイトコア」という銘柄の、2019年に登場したモデル:「P18」です。 

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NITECORE P18

全長106mm。アルミニウム合金のダイキャスト一体型ボディー。一般的な懐中電灯の外観とは異にするコロンとした四角っぽい見た目が特徴。とは言え、私がこれまで5年間愛用してきたサンウェイマンD20Aとほぼ似たディメンジョンになっています。

重量はD20Aの165グラムに対しP18は155グラム(いずれも電池含む・実測値)でした。

  

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愛用のSUNWAYMAN D20A(写真奥)と

  

ナイトコアはタクティカルライトの分野ではその名が知られている中国のメーカー。創業から10年ほど。アイディアあふれる多彩な製品の開発と比較的手頃な価格で北米にも大量に輸出されている人気のブランドです。タクティカルライトだけでなく一般ユーザー向けのコンパクトなフラッシュライトも数多く取りそろえています。二次電池(=充電池)のチャージャーのラインアップも豊富で、チャージャーのブランドとして認識されているかたもおられるかもしれません。

  

P18は2019年の春に登場した新しいモデル。通常、タクティカルライトは長い筒状の外観のものが多いのですが、本製品は全長が短くポケットにもスルッと入るカタチです。

ライト(メインとなる白色LED)のオンオフは本体後端部の四角いプッシュスイッチによって行います。スイッチが本体後端部に備わるのはタクティカルライトにはよくある方式です。

  

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本体後端部の四角いプッシュスイッチで点滅を操作

  

フラッシュライト好きなら最初に気になるのは使用できる電池のタイプです。P18は「IMR18650」という少々大きめのリチウムマンガン充電池1本を使用します。そのサイズは単三型乾電池よりもふたまわり大きい感じです。

  

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(単三乾電池より大きい)IMR18650

この「IMR18650」のほか、かつてはカメラ用の電池として広く普及していた「CR123A」2本でも駆動できます。CR123Aは充電池ではないものの今でも時々ホームセンターなどで見かけることができます。自然放電が少なくて長期保存が効くリチウム電池ですので、これが予備用に使えるのは便利かもしれません。

  

IMR18650の充電には別売りの充電器を使います。ナイトコアは数多くの充電器をラインアップしているのは先ほど述べたとおりです。充電器はあとでゆっくり選びたいので、とりあえずUSB経由で充電できるナイトコア純正の充電用ホルダーを購入しました。

このホルダーはマイナス側の端子が前後にスライドする仕組みでIMR18650のほか、いくつかのタイプの充電池に対応します。ホルダー本体には充電状況を示す3灯のLEDが備わっています。またホルダーの両側にUSBジャック(micro-B と Type-A)があり、充電時にはmicro-B側を使用。Type-A側にケーブルを挿すとホルダーと充電池のセットがiPhoneやスマートフォン類を充電するモバイルバッテリーになります。

    

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NITECORE F1 FLEXIBLE POWER BANK

最近のフラッシュライトは製品本体に充電用の回路とコネクターを備え、USBアダプターからのケーブル直挿しで充電できるものが増えています。個人的にはP18にも直挿し充電機能が欲しいなと思いました。いまのP18がいっぱい売れて、改良版「P18 PLUS」の登場に期待したいところです。

  

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ナイトコアP18はサイズだけでなく機能においてもサンウェイマンD20Aと近似したところがあります。それは赤色LEDを搭載していることです。

低照度の赤色LEDなら周囲への光の漏れが少なく、また人の夜目に障りが無いのが利点です。本来は周囲(=敵)にさとられず手元の地図等を確認するために使うものだと思います。星空観測会等で周りに大きな迷惑を掛けないメリットもあります。

  

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赤と白、両LEDの同時点灯も可能

ナイトコアP18では、側面の丸いプッシュスイッチで赤色LEDのON/OFFを操作します。

…と書きますと丸いプッシュスイッチは白色LEDとは独立したものと思ってしまいますが、四角いスイッチと丸いスイッチの同時押しをすることで白色LEDが一番暗い照度(ウルトラロー)で点灯するという機能も備えており、白色LEDのコントロールにも一部関わりがあります。 また丸いプッシュスイッチを長押しすると赤色LEDが点滅を開始し、その点滅回数で18650充電池のおおよその出力電圧を確認できます。(例:4回点滅~少しおいて1回点滅で「4.1V」)とてもうれしい機能!

  

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ここまでは「平和に」D20Aとの比較をしてきましたが、P18の凄さは発する光の強さにあります。フラッシュライトの発する光の強度の目安としてLumen(ルーメン)という単位があります。ルーメンは簡単に言えば「光源の明るさ」を指します。

まずD20Aの白色LEDは4つの光の強度を発します。「ターボ258/ハイ208/ミッド70/ロー4(単位:ルーメン)」です。いっぽう今回のP18は「ターボ1800/ハイ850/ミッド260/ロー65/ウルトラロー1(ルーメン)」。

D20Aの258ルーメンでも恐ろしいほどまぶしいのに、P18Aのターボは1800ルーメン(!)と、実に7倍の強さです。1800ルーメンがどれくらい明るいかと言いますとクルマのヘッドライト1灯分近くという感じです。

なおターボモードはあくまで応急のもの(発熱のため長時間の使用は不可)ですが、その次のハイモードでも850ルーメンもあり、これが2時間連続点灯できるのです。

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高い中心照度と広い配光の2段階パターン

P18の配光は、中心部分の照度が強く、それと共に周囲も広く光を照射する2段階パターンです。LEDの性質から一部黄色味がかった色合いが混じりますが、これは白い壁を照らすからであり、林道などの屋外ではあまり気になりません。

   

これまで5年以上D20Aを愛用してきたのになぜP18Aを買い増ししたのか。それは雨天時の夜道での経験が理由です。これまでのD20Aも明るすぎるほどの性能で、屋外であっても基本的にミッド(70ルーメン)で充分でした。しかし雨天時のまったく灯の無い道で、しかも路面が濡れた泥や水たまりとなると、フラッシュライトにいくらでも明るさが欲しくなってきます。

250ルーメンを超えると単三乾電池を使う製品では足りず、しかもいやでもタクティカルライトの領域を探すことになります。個人的に筒型のフラッシュライトは持ち歩きたくないのでD20Aっぽいものを探していたところ、ラッキーなことにナイトコアからP18が登場していたというわけです。

  

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P18の点灯/消灯と照度変更の操作は少々の慣れを要します。白色LEDの操作のほとんどは後端部の四角いプッシュスイッチで行います。まず消灯状態からスイッチを全押し(=奥まで押し込む)すると「点灯」します。点灯時に再び全押しすると「消灯」です。

ただしP18は前回消灯時の照度を記憶しているので、消灯状態から全押しした時の照度は「前回の照度」となります。

照度の変更は、点灯時においてのスイッチ半押し(=途中まで押して離す)の繰り返しで行います。照度は昇順、つまり「ウルトラロー→ロー→ミッド→ハイ→ターボ」の順です。

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プッシュスイッチの全押し/半押しで照度を切り替え

最後の照度を自分で覚えていないと、いきなりターボで点灯することもありますから、消灯時は暗めの照度で終えておくほうが良さそうです。

それとスイッチのロックが出来ないのは少し不安です。プッシュスイッチのストローク(押ししろ)が大きいので周りの荷物が当たっての不意の点灯は無いとは思いますが、カバンの中に収める場所には気をつけたいです。専用のホルスター(=ホルダー)がP18に同梱されているので、これに収めて腰に提げるかバッグに入れるのが安心です。

そのほか、P18にはストロボ(=高速点滅)モードやSOS発光モードなども備わっています。

  

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ナイトコア社製品の多くは前述した「タクティカルライト」というジャンルの物で、それは相手を幻惑させる強い光、防水・耐候性があり時に武器としても使えるほどの屈強な本体などが基本的な仕様となります。またタクティカルライトの一部の製品には発光部周囲に「ストライクベゼル」というギザギザの部材が備わっています。

ストライクベゼルはその名の通り「殴る(どつく?)」際に相手にダメージを与えるための鋭利な爪です。と書くとまことに物騒ですが、水没する車から脱出する際にこの爪でガラスを割るのにも使えそうです。ストライクベゼルを装着するとフラッシュライトを壁や床にピッタリ寄せた場合にもベゼル周囲から光が漏れるので、ライトの消し忘れ防止にも役立ちます。

  

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「P18用 ストライク ベゼル」と専用工具

  

P18は標準ではストライクベゼルを備えていませんが、ナイトコア純正部品の用意があります。部品に添付の専用工具を使い、P18に最初に備わっているベゼルを外し、ストライクベゼルを装着します。

ただしストライクベゼル付きのフラッシュライトは警察の職務質問の際の所持品検査で引っかかる恐れがあり注意が必要です。

  

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ストライクベゼルを装着した ナイトコア P18

  

タイトルの説明が抜けていました。東日本大震災以降、マニアだけではなく多くの人が非常時の明かりの確保を意識するようになりました。万が一を考えて外出の際の持ち歩き品にフラッシュライトを加える人も増えていると思います。

こうした「毎日持ち歩いくフラッシュライト」のことをEDC (=everyday carry)ライトと呼ぶそうで、最近このキーワードを目にする機会も多くなっています。

EDCライト。なにも高い製品や超高輝度発光のモデルを選ぶ必要はありません。けれども私が直面したような雨天時の照射など各人の「こうしたい」をかなえるためには、それぞれが要求するスペック(specification=仕様)に上限は無いと思います。

  

タクティカルライトとして使える性能を備えつつ持ち歩きに便利なポケッタブルなサイズ。マニアの皆さんから見ればデザインも仕様もタクティカルライトとしては異色の存在に思われるものの、ナイトコアP18は「ハイスペックのEDCライト」として評価に値する製品と私は考えます。

  

追記:

ナイトコアP18は本記事執筆現在、次の5箇所に掲載されていました。「アカリセンター」・「アマゾンジャパン」・「イージーライト(実店舗)」・「プロライトジャパン」・「ホルキン」(五十音順・敬称略)。それぞれ流通ルート、価格、保証条件などが違うようです。フラッシュライトは初動の販売数がふるわないとすぐに廃番になってしまうので、気になったら早めの入手がよろしいかと思います。

  

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ナイトコアP18

ナイトコアP18

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