*** 今回は SOUNDPEATS 様より製品をご提供いただいての記事です。画像はすべて当ブログで撮影したものです。レビューの内容について指示はされておらず、私の主観で自由に製品評価をしています ***
1.突然のお声がけが
ヘッドフォンオーディオのSOUNDPEATS 様(以降は敬称を略します)から「新製品記事レビューのお願い」というタイトルのメールが来ました。アシダ音響のヘッドフォンを紹介した記事をご覧頂いたのがきっかけとのこと。
弱小ブログのLowPowerStationですが、「アシダ音響…」の記事(1と2)だけは2020年の公開から今までの総ビュー数は相当なものになっています。
そのアシダ音響の記事を含め、当ブログはヘッドフォン関連について製品の提供などを受けたことは無かったので、今回のお声掛けにはビックリしました。こういった場合、ほかのかたがどうするのかは知りませんが、提供を受けたからにはむしろシビアな評価をしたいと思います。
2.メーカーからの情報
本題に入る前に、SOUNDPEATS より「これはお伝えして」という情報がありましたので先に掲載しておきます(原文ママ)。
3.メーカーと製品について
ドライバー部分は耳穴に挿し込むことはせず、耳にかけたバンド部の支えによって耳に「載せる」感じになります。バンド部の形状と硬度が適切で、耳にしっかりと掛かっていながら着けている事を忘れるほどに快適な装着感です。
最初のうちは音のセンターを合わせるため、左右のドライバーの位置をしばらく探る必要がありますが、何度か使っているうちにサッと合わせられるようになります。耳たぶの形によってはうまく装着できない人も出てくるかもしれません(それは他社の製品にも等しい話ですが)。
4.最初の準備
GoFree2を希望の音質にするためには専用アプリの常時起動が必要ですが、アプリ自体は安定稼働しているため、一度起動させてしまえば煩わしさはありません。
(以降は専用アプリで音質を「SOUNDPEATS クラシック」に設定した状態での試聴を基本とします)
5.操作系
GoFree2の左右のドライバーユニットにはSOUNDPEATSのロゴをあしらったおむすび型のプレートが付いています。これがタッチキーになっていて「音楽の再生/停止」・「音量設定」・「曲送り/戻し」・「通話コントロール」・「Siri起動」などをリモート操作できます。
最初のうちはキーの場所に迷います。指先一本で狙い撃ちするのではなく、耳たぶやドライバーユニット辺りに別の指を添えて操作すると良いかと思います。
不意なタッチで誤動作を招きたくない場合には、専用アプリのメニューでタッチキーを無効化できます。
6.ドライバーユニット
ドライバーユニットには、音楽が再生される「耳穴正面」と「サイド部」のふたつのグリル、充電端子、そして画像では見づらいですがマイクユニットが収まっていると思われる小さい穴が二箇所あります。
ドライバーユニットの内部には直径16.2mmと結構大きなドライバー(=スピーカー)が収まっているそうです。ドライバーのオモテ面からの直接音は耳穴正面に近いグリルから放出されます。ドライバー背面からの音は専用設計のダクト(導管)を介して低音が補強され、ドライバーユニットの側面のグリルから放出されます。
ひとつめのグリルからは高音域、サイド部からは低音域。つまりこれ自体が小さなバスレフ式スピーカーのようなものになっています。
また、「オープンイヤー」ということで、これらの音がイヤーパッド無しに耳穴に届くわけですから、周囲への音漏れは盛大ながらも全体としてスッキリとした傾向の音になっています。
7.試聴
使用開始から8日目。毎日かなり使いました。
製品の構造上音漏れは大きいほうですから、まずは自宅内での使用がメインになります。周囲の雑音が少ない室内であれば、オープンイヤータイプのGoFree2でも低音域は十分に聴こえます。前述のとおり、専用アプリの設定で低音を抑えているくらいですし。
一般にBluetoothイヤホンの音質は、「デジタル信号からアナログ音にする際のシグナルプロセッサーの性能と音質設定」、「アンプの性能」、「ドライバー自体の音質特性」、「ドライバーをとりまくハウジングが生む音の傾向」の4つで形成されると思います。
GoFree2の場合、物理的に分離させた高音域と低音域のふたつを耳に注ぐわけですから、製品化には苦労があったのではないかと思います。
GoFree2の基本的な能力として、「のびやかな高音域」と「必要十分な低音域」はアピールできると思います。いつも高音域の評価に使っている曲での、超高域成分が含まれている「ピアノのペダルノイズ」はそこそこ聴こえました。エレキベースについては(オープンエアータイプゆえ)極低音の力強さや量感は控えめながら、手指が弦を弾く音を明確に拾い上げているので気持ちよく聞き取ることが出来ています。
私の印象としまして、アコースティック系の楽器、ピアノや弦楽器、ブラス系は上手く鳴らせていると思います。ピアノソロやトリオ構成程度のジャズには「ほほう」と思わせるものがあり、ちゃんと聴き込むことができます。楽しく聴けたサンプルを以下にご紹介します。
いっぽう、例えばロック系のミュージックで大きめの音量が収録された曲では「平板な感じ」とか「うるさいだけ」に聴こえてしまうものも結構あります。
大音量な楽曲の全てがダメというわけでもなく、一部のエレクトロ系の楽曲だと大音量でも平気だったりします。
私は「良いヘッドフォンは曲のジャンルを選ばない」とはまったく考えておらず、ヘッドフォンに得意な曲、不得意な曲が有ってもかまわないと思っています。「楽曲には、ヘッドフォンの数だけ違う音がある」と考えたいほうです。
8.女性ボーカルで笑顔になれる
驚くのは女性ボーカルがメインの曲での聴こえの良さです。これはもう出色(しゅっしょく)の仕上がりです。ピアノやアコースティック系が良く聴けるのと重ね合わせ、高音域から中音域の能力が秀でているのでしょう。GoFree2が聴かせてくれる女性の艶やかな声には思わず笑顔になってしまいます。
ただし、これも楽曲にあまりパワーがあると全体が平板になってしまいます。初期の椎名林檎さんあたりは厳しかったです。
9.通話
通話としてもかなり使ってみました。マイクの声の「拾い」は標準的です。マイクには街の雑踏のようなものを排除するノイズキャンセリング機能は備わっているらしく、屋外での通話も声を荒げることなく使えました。
1時間以上かけ続けても耳が痛くならないのはオープンエアータイプのメリットです。掛け心地の良さや聴き疲れの少なさから、私がこれまで使っていた通話用ヘッドセットやSHOKZのオープンコムからGoFree2に切り替えても良いかなという気持ちになっています。
10.屋外にて
その構造上、音漏れの多さから、バスや電車など公共交通機関の車内では使えないと思います。
でも安全なエリアで歩きながら聴くのであればGoFree2はとても良いです。理由は「ドライバーユニットを耳に挿さない」ことと「ヘッドフォンケーブルが無い」ことにあります。
ドライバーユニットを耳に挿したり、耳の周囲にケーブルがあると、歩いている時にそれぞれが揺れ、思いのほかパワーのある超低域振動が発生して耳を痛めます。頭に掛ける一般的なヘッドフォンも歩行時の揺れで同様の振動が生まれます。
GoFree2にはそのような振動音がほとんど耳に来ないので、耳は疲れませんし、超低域振動に邪魔されることなく音楽を楽しむことができます。
11.まとめ
思わぬきっかけで製品が手に入り、でも今まで知らなかったブランドで、いろいろと不安いっぱいでの試聴となりました。ところがフタを開けてみると、予想を上回る完成度とメリットを確認でき、驚くとともに貴重な機会を用意してくださったSOUNDPEATSさんには感謝の気持ちです。
じつは、先入観が付かぬよう、あえて製品の価格を書かないでここまで引っ張ってきました。本記事執筆時点のAmazonでの実売価格は¥7,880.です。あたりを見回すと、とても似た構造の製品は各社から出ていて、有名オーディオブランドの製品ですと1万8千円を超えるものもあります。GoFree2は手頃な価格でありながら、価格に見合うかそれ以上の仕様と性能を備えていると私は思いました。
よく知られたオーディオ専業ブランドの製品であっても、表には出ないメーカーのOEMだったりします。もっと分かりやすく言えば「同じところで作られている似たような仕様の製品が、ブランドやブランド毎の流通形態の違いだけで値段に差が出ている」こともありえるということです。
もしまだ耳掛けタイプのヘッドフォンをお持ちでないのであれば、試しに買ってみる価値はあると思います。
12.そのほか
今後も本製品の評価は継続してゆきます。公共交通内を含め、屋外でのいくつかの場面についてさらに試すなどしてみます。
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