和田哲哉・LowPowerStation

考えて使う・楽しく使う

感謝して使っているTTArtisan35mm/f1.4c

  

昨年ひとまずボディーだけ買い、masawadaさん(息子)に18mm(換算27mm)のレンズを借りて「運用」していたフジフイルムのX-E4。ではレンズは何を買うか?といったことが、この一連の記事のスタートでした。

  

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こういった場合、まずはフジの「神レンズ」と言われている純正35mm/f1.4や、コンパクトなX-E4とマッチする純正35mm/f2 WRを選ぶのが王道?

35mmであれば昨年秋に登場したフォクトレンダーのXマウント(=FUJIFILM系)レンズが気になりますし(ただし人気でいまだ入手困難)、見た目の良さだけで考えれば同社の VMマウント(=ライカ系)35mmもイイ。

ただ、そもそも「35mm(換算52mm)ってどうなんだ?」という疑問も湧いてきます。

  

そんななか、またまたジェットダイスケさんが面白い動画を公開されていました。X-E4に組み合わせるレンズを「見た目の良さ」で考えるという内容です。

  

youtu.be

  

私も他にメインのカメラがあるので、X-E4のレンズは見た目で選んでも良いかなとか、この動画のおかげでだいぶ気が楽になりました。

  

***

  

昨年の某月某日。出張ついでに都内のカメラ屋さんに寄りました。

「フォクトレンダーのXマウントどうかな(当然入手困難)」・「X-E4にピッタリの純正27mmどうかな(入荷見込み無し)」・「神レンズ、意外に大きいな。うーん悩む」と、本日は収穫無しの予感。

ならばマウントアダプターでも買おうかなと思いつつショーケースの端を見たら、ジェットさんが取り上げていた「TTArtisan 35mm/f1.4c」がひっそりと置かれています。初期モデルではマウント部分の勘合に問題がという噂があったため、お店のサンプルを試した上でおそるおそる購入してみました。

  

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XF18mm F2 と TTArtisan 35mm/f1.4c

レンズはコーティングされているのかな?などと不安を感じるものの、オール金属のボディーはキレイに仕上がっていますし、各部の操作感も良好です。なにより、開放F値が1.4(!)。

次にiPhoneの輝度をめいっぱいに上げて側面から撮影。

モーター等を内装しないMF(マニュアルフォーカス)レンズのためか、XF18mm F2よりも思い切り細身です。レンズ断面のイメージをあしらったシルク印刷や、鏡筒のテーパー形状はフォクトレンダーの「HELIAR Vintage Line 50mm」を思い起こさせます。

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MFゆえか、スリムなTTArtizan 35mm/f1.4c

  

X-E4に装着。意外と馴染みます。このレンズにはニコンZマウント版もありますが、Z50やZfcに装着するよりもX-E4のほうが似合っている感じです。

  

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X-E4に装着したTTArtisan35mm/f1.4c

店から出て移動の道すがら、さっそく試写。あいにく街はすっかり暗くなっていましたけれど。あとは銀座五十音さんの店内でも特別に撮らさせて頂きました。

  

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路地1

照明の無い路地から明るい表通りを臨みます。ピントは道路に置かれた看板の文字に合っています。ISO2000, f2.8, 1/100s。難条件ですが、許容範囲です。以降全てのショットにおいて、色味はX-E4の性能に助けられている部分が大きいと思います。

  

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路地2

あたりはかなりの暗さ。ISO500, 1/00, f2.0。合焦部分の解像感はのちに購入する純正レンズには若干劣っていますが、ブログに載せる画像向けには十分なものです。

  

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階段

(少し傾斜を修正しています)狙って撮ったわけではないのに気に入っている1枚。ここでもX-E4の画像処理エンジンに助けられている感はありますが、だからと言ってレンズを否定する要素はありません。ISO1000, 1/100s, f1.4。ただしピントは合っていません。MFレンズって楽しいですが、気をつけてもかなりの率でピントを外してしまいます。

  

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狐の刃物

これはもうX-E4の画像処理エンジンのに助けられているのかな。ISO3200, 1/100, f1.4。ガラス越しでの撮影。TTArtisan35mmのMFの楽しさにノリノリです。

  

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花を撮ってみました。ISO200, 1/60s, f2.8。これ以上絞ると後ろのボケが真円ではなく猫の目のようになってしまいます。いわゆる「グルグルぼけ」につながります。ボケを考慮するとなると、いろいろ配慮が必要になってきます。

  

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いつも行う無垢材の扉の試写。ISO320, 1/30, f2.0。安価なこのレンズへの心配が解消された瞬間です。

  

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犬1

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犬2

ワンちゃんを2枚。ISO400, 1/100s, f1.4。このレンズ、X-E4との相性は良いと思います。暗所という難条件をX-E4が支えてくれていると思います。そしてレンズは必要な仕事をちゃんとしている感じがします。

今回は暗所での撮影が多かったのは良かったのかもしれません。いずれ明るい所での撮影も試そうと思います。

    

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アリス

最後はミニチュアを近接撮影。ISO640, 1/100, f1.4, -2EV。たった15×20cm角の箱の中を美しく、ミステリアスに描き出しています。しかも絞り開放でふんだんに発生する「グルグルぼけ」が、ここでは効果的に働いています。このレンズ、楽しい。

    

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専用フードを付けて

  

TTArtisan35mm/f1.4c を紹介しているブログや動画のほとんどが「中華レンズ」とか「九千円を切る」から話が始まっています。たしかにフジフイルム純正マウントアダプターの半額以下でf1.4のレンズが買えるのは驚きです。

  

でも本当に驚くべきなのは、この1本が私にいろいろ教えてくれたことです。

・MF(マニュアルフォーカス)は楽しい。
・MFだと頑張っても3回に1回くらいしかピントが合わない。
・開放F値が小さくてもボケのクセには注意が必要。
・歪曲補正が効かなくても35mm(換算52mm)では困らない。
・絞り値情報がEXIFに残らなくてもそれほど困らない。
・35mmで何が撮れるのか、自分は何を撮りたいのかが見えてきた。
・TTArtisan、楽しい。
・でも純正(=AF)レンズが欲しくなった。

  

このレンズのおかげで、X-E4でこれから何をしたいのかが見えてきました。今後買うレンズの方針もスッキリ決まりました。そういった意味で、TTArtisan35mm/f1.4cに感謝しながら、日々愛用しています。

  

※ TTArtisan35mm/f1.4c は初期のモデルでマウント部分の勘合が固すぎる、あるいはゆるいなどのレビューをどこかで見かけました。私はお店での購入時、その場で開封して店員さんに一緒に確認してもらいました。

  

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